e災害時に衛星画像公開

  • 2015.09.29
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2015年9月29日(火)付



一目で分かる被災状況
関東・東北豪雨被害で初活用



地震や大雨など大規模な自然災害が発生した際、いち早く被災状況を把握し、被災者の迅速な救助・避難に役立てるため、政府は今月から、情報収集衛星の運用ルールを変更し、被災地の上空から撮影した画像を国民に公開できるようにした。内閣官房のホームページなどで見られる。


その初公開となったのが、「関東・東北豪雨」で今月10日、鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市の被災状況。現場に濁流が止めどなく押し寄せ、被害の全容がつかみきれない11日午前の時点で、川からあふれ出した水が南北に約15キロ、東西に約4キロの広範囲に浸水している様子を知らせる役割を担った。


情報収集衛星は、軍事用の偵察などが目的であるため、撮影した画像は特定秘密保護法の特定秘密に指定され、非公開を原則としている。


しかしながら、災害発生時に被災地を広範囲に撮影でき、国民に被災状況を的確に情報伝達できるメリットに着目。運用ルールを変更し、暴風、竜巻、豪雨、地震、津波、噴火などのほか、大規模な火事、爆発、重大な事故が発生した際、被災状況を早期に把握したり、被害の拡大を防止するため、政府が必要だと判断した場合、画像に一定の加工処理を加えた上で公開することとした。


公開される画像は、被災現場で住民が避難ルートを決めるなどの判断材料になることが期待でき、内閣衛星情報センターの新田浩史調査官は「災害時の迅速な避難につなげてほしい」としている。


情報収集衛星の公開については、公明党が積極的に推進。東日本大震災で岩手、宮城、福島3県の沿岸部を中心に被害が広範囲に及んだ際、当時の民主党政権が情報収集衛星の画像を生かしきれなかったことを教訓とし、2012年6月の参院内閣委員会で浜田昌良氏が災害時に活用できる運用体制づくりを提案。さらに今年5月の参院決算委員会で新妻秀規氏が「災害時の情報提供はスピードが命だ」と強調し、運用ルールの変更を急ぐよう訴えていた。

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