e抑止力が格段に強化

  • 2015.09.24
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年9月23日(水)付



公明は「平和の党」の真価発揮

平和安全法制成立 識者に聞く
大阪大学大学院 坂元一哉教授



―平和安全法制をどう評価しますか。


わが国自身の抑止力を格段に強化するとともに、国際社会の平和にも貢献することができる法制であると歓迎している。日本のしっかりとした安全保障の体制を築くことができる。わが国を取り巻く国際環境が一段と厳しさを増す中、必要かつ望ましい措置だ。


とりわけ日米同盟の協力関係を強固にし、同盟の抑止力を飛躍的に高めることになる。これは中国など近隣諸国との偶発的な軍事衝突の可能性を大きく減らすことにもつながる。


さらに付言すると、国際政治において、あらゆる問題は対話による解決をめざす。だが、その背景に経済力や軍事力といったパワーバランスの均衡がないと、一方的に脅し脅されたりするだけの関係になってしまう。これが国際政治の現実だ。今回の法制で向上する抑止力が、対話外交の推進に大きく寄与するものと考えている。


―「新3要件」などの歯止めをどう見ますか。


今回、新たに存立危機事態という事態を設けた。この事態を認定して武力を行使するのは、政府にとって"伝家の宝刀"的なものになると予想しているが、抑止力を図る効果としては十分だと思う。しかも、「専守防衛」「自国防衛」という防衛方針はまったく変わらず、憲法の枠内にとどまった。わが国と密接な関係にある他国への武力行使を実力で阻止するといっても、わが国の存立を全うするための自衛のため、しかも必要最小限の武力行使であるからだ。他国防衛そのものを目的にする集団的自衛権は認めていない。その意味で、今回の法制は憲法を守るという観点からも評価できる。


―関連法成立に至るまで公明党は議論をリードしてきました。


「新3要件」の歯止めをかけた経緯などから、責任ある「平和の党」としての真価を発揮したと感じている。平和の党だからこそ、「自衛とは」という国の根幹に関わる難しい問題に真正面から挑み、苦労しながらも議論を深め、結論をまとめてくれた。公明党の奮闘により、戦後培った平和主義の理念は少しも変わっていない。


また、新法である国際平和支援法において、自衛隊派遣の例外なき事前承認を求めて規定させたのは、高く評価したい。国会の関与が増すことで、海外派遣の議論をより慎重にさせる効果がある。


―今後、政府が留意すべきことは何ですか。


さまざまな事態に備えるため、自衛隊の装備や訓練の充実を進めるべきだ。また、今回の法制について国民の支持を得ていくための取り組みが必要だ。国連平和維持活動(PKO)協力法は世論の逆風の中で出発したが、地道に実績を積み重ね、その活動が国民に知られていくことで理解が広がった。今回の法制についても、引き続き丁寧な説明に努めていくようお願いしたい。

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