eコラム「北斗七星」

  • 2015.09.07
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年9月5日(土)付



英国のスコットランド地域。日本人には馴染み深く、制服などに用いられるチェック柄やスコッチウイスキーはスコットランドが発祥地。『蛍の光』も、元は同地域の民謡だ◆「痩せた高地」(本村凌二著『世界史の叡智』中公新書)のスコットランドだが、人々は開拓精神に富んでいるらしい。事実、産業革命の柱となった蒸気機関の開発者・ワット、電話機を発明したベル、経済学の祖のアダム・スミスなど錚々たる面々が。鉄鋼王のカーネギーも生粋のスコットランド人という◆時代を開いたスコットランドの気風。それを日本でも引き出し生かす施策が始まっている。内閣府が型破りな研究を支援する「ImPACT」だ。狙いは新・産業革命。昨夏、12人の研究者を、大きな裁量権を持つプログラム・マネージャーに選定。近く新規追加も決めると聞く◆それにしても、内容は極めて斬新。例えば、東北大大学院教授の佐橋政司氏は消費電力の大幅削減へ無充電で長期間使用できるエコIT機器の開発に挑戦。筑波大の研究センター長の山海嘉之氏は「重介護ゼロ社会」を掲げ、脳神経・身体とロボットを融合させる技術開発に力を注ぐ◆スコットランドの魂は"あくなき進取"にあるという。ならば日本は? 異質さを認めぬ風土からは、新しい流れは生まれまい。新奇を認める社会が基だ。(田)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ