e出生数増加の兆し 経済成長と政策加速で定着を

  • 2015.09.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年9月2日(水)付



厚生労働省が先月下旬に発表した人口動態統計速報によると、今年上半期に生まれた赤ちゃんは50万8802人に上り、昨年の同時期と比べ約1万2000人多かった。都道府県別では、東京都や大阪府、神奈川県など都市部で出生数が増えている。


出生数は2010年から減り続けており、今年は5年ぶりに前年比でプラスに転じる可能性が出てきたため、関係者の注目を集めている。


出生数増加の背景として、マスコミは「まず指摘されるのが経済的な要因」(1日付読売新聞)と報道している。自公政権が主導する賃上げの動きが広がったことで、子育て世代の間で子どもを産み育てようとの意欲が高まったという。


また、保育サービスの拡充は、出生数が増えた自治体の多くで共通しており、都内の自治体職員などからは、保育定員増加も影響したと指摘する声も挙がる。


子どもを産むか産まないかは、あくまで個人の判断に基づくものだが、政策を効果的に機能させ、子どもを育てたいと望む若者の願いに応えられる環境の整備を全力で進めていきたい。


まずは、経済的負担の軽減を急ぎたい。


既婚男女を対象にした2013年の厚労省の調査では「3人以上」の子どもを望む若者は男女とも4割を超えている。だが、子育て世代が第3子をあきらめる最大の要因は経済的な負担とする別の調査もある。このため、政府の有識者会議は先月、第3子以降の保育料無償化の対象拡大を提言し、政府も具体的な検討を開始した。子育て世代の思いを的確に捉えた対策であり、財源を確保し必ず実現させてもらいたい。


今年4月にスタートした子ども・子育て支援新制度では、小規模保育が新たに国の補助対象となった。保育の拡充もまだまだ必要だ。


3月に閣議決定した少子化社会対策大綱で、政府は男性の育児休暇取得率などの数値目標を打ち出した。仕事と子育ての両立支援の必要性は企業の間でも認識が高まっており、子どもを安心して育てられる環境の整備に向けて、政府は責任を持って目標の達成に取り組んでほしい。

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