e中小企業の人材確保 自社の魅力伝え地域に呼び込め

  • 2015.09.01
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年9月1日(火)付



中小企業が人材を発掘するための合同企業説明会や研修セミナーが、今月から全国各地で本格的に開かれる。


これらのイベントは、政府の「地域中小企業人材バンク事業」の一環として、全都道府県47カ所に設けられた「地域人材コーディネート機関」が実施し、若者はもちろん、女性やシニア世代も含めて10万人の参加を募る方針である。合同企業説明会などを通して、中小企業と多様な人材が結びつく機会になるものと期待されている。


景気の回復基調に伴って、大企業が人員の確保を進める一方、中小企業では人手不足感が強まっている。中小企業庁の調査によれば、必要な人材を確保できていない中小企業・小規模事業者は約4割にも達する。人材不足は企業の経営や成長を阻害しており、経済再生への大きな課題だ。


中小企業の中には、採用に十分な時間を割く余裕のない事業者が多い。情報発信力や人材供給の手法が限られているため、募集しても人が集まらないケースは珍しくない。


人材バンク事業では、インターネットを活用した求人のノウハウや、中小企業が自社の魅力を積極的にアピールする手法を学べるメニューを用意しているコーディネート機関もある。さまざまな手法を駆使し、中小企業の採用活動の質を充実させていかなければならない。


地方の中小企業の人手不足に拍車を掛けている一因が、大都市圏への人口流出である。そこで、人材バンク事業では、都市部から地方へ移り住む"UIJターン"を支援するため、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の5都市を拠点に、中小企業との交流イベントや企業説明会も開く。


都市部で就労経験を積んだ人材が地方の中小企業で働ければ、地域の活性化につながる。地方に人材を呼び込む流れを後押ししたい。


会社規模が小さいほど、新卒者の離職率は高い傾向にある。採用した若者を職場に定着させる取り組みも人材確保の上で欠かせない。


資格取得の支援をはじめ、地域内の他社の若手との交流研修会の開催などで離職率を下げる対策を講じている中小企業もある。こうした取り組みを積極的に広めたい。

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