e地方版政労使会議 若者の所得拡大、処遇改善へ

  • 2015.08.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年8月20日(木)付



公明党が提唱している「地方版政労使会議(仮称)」が現実のものになりそうだ。10日の参院予算委員会で谷合正明氏が実現を求めたのに対し、安倍晋三首相は「労使をはじめとする地域の関係者が集まる会議を設置する検討を進めたい」と明言した。


政労使会議は、政府、労働界、経済界(使用者)の各代表で雇用環境の改善などを話し合うための場。国レベルでは公明党の提案で2013年に設置されて以来、着実に企業の賃上げを促してきた。連合が7月にまとめた春闘の最終結果によると、定期昇給を含む賃上げ率は2.20%。2年連続で前年同時期を上回った。


ところが、景気回復の効果は家計や地方にまで行き渡っているとはいえない状況だ。今月17日に発表された4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、企業業績が過去最高水準にあるにもかかわらず、個人消費などが振るわず、実質で3四半期ぶりのマイナス成長になった。


確かに、賃上げの内訳を見ると、組合員数が1000人以上の組合は賃上げ率2.31%だったが、99人以下の小規模組合は同1.76%と、組織規模によって賃上げの幅に開きがある。小規模企業が全企業の87.5%を占める地方圏では、東京などの都市圏と比べて景気回復の実感が乏しいのもうなずけよう。


こうした点を踏まえ公明党は、政労使会議を各都道府県にも設置し、特に若者の所得拡大や処遇改善をきめ細かく進めるべきだと主張している。若者の労働条件が良くなれば、都市部への人口流出に歯止めがかかり、結婚や出産などを希望する人の選択の幅も広がるとみられる。


地方版政労使会議を設ける素地はできつつある。今年1月から各都道府県労働局に設けられた「働き方改革推進本部」は、関係者と協力し長時間労働の削減に力を入れ始めた。先行事例としては、神奈川県が09年3月、リーマンショックの影響を緩和するために独自の政労使会議を設置している。


国の主導で賃上げの大きな流れはできた。今後は、地域の実情を誰よりも知る地元の政労使が力を合わせて賃上げ・雇用環境の改善に取り組んでもらいたい。

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