e障害年金の支給判定 地域格差をなくす新指針に

  • 2015.08.07
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年8月7日(金)付



同程度の障がいがあっても居住する地域によって、障害年金の支給の有無や受給額を決める障害等級の判定にバラツキがある―。こんな不公平を改善するため、厚生労働省は専門家による検討会で、より客観的に判定できるようにするための新たな指針の作成を進めている。速やかに策定し、地域による格差の解消を急がなければならない。


障害年金は、公的年金の加入者が病気やケガで一定以上の障がいを負った場合に支給され、約200万人が受給している。国の制度である以上、地域による格差は許されないが、厚労省の調査によると、多くの障がい者が申請する障害基礎年金について、新規に申請して「不支給」と判定された割合が、都道府県間で最大6倍の開きがある。


さらに、障害基礎年金の更新時に支給を停止・減額された割合も、都道府県間の格差が最大11倍に上るとのデータが検討会で示されている。


障害年金の有無や受給額の変化は、障がい者の生活に大きな影響を及ぼす。著しい地域格差があれば、納得できるものではない。


障害基礎年金の支給審査は日本年金機構の都道府県事務センターが地元の医師(認定医)に委託して行っている。このため、同程度の障がいでも、個々の認定医の判断によって障害等級が異なる可能性が指摘されている。


7月末の検討会で示された新たな指針案では、食事や買い物など日常生活に必要な能力を点数化した上で、その平均点と援助が必要な度合い(5段階評価)を組み合わせて等級の目安を設定。病状や療養状況、生活環境などの要素についても考慮すべき事柄を例示して「○級の可能性を検討」などと記載する。


厚労省は今月中にも指針案のパブリック・コメント(意見公募)を開始し、年内にも正式決定したい考えだ。


認定医の判断がまちまちにならないように、分かりやすい表現にするとともに、認定医向けの研修会を実施するなど周知の方法も工夫してもらいたい。また、新指針で地域格差が解消されるか、検証する仕組みも必要だろう。


関係者の意見を十分に踏まえ、判定を均一化する実効性のある新指針にしてほしい。

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