e地域の金融機関 中小企業を育てる金融広げよ

  • 2015.08.04
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年8月4日(火)付



地域の金融機関が行う中小企業支援は十分か。金融庁は、地方銀行や信用金庫などの融資を受けている企業から、融資の中身や経営相談の実態を聞き取る大規模な全国調査に乗り出す方針を発表した。調査は、近々、詳細が決まり次第、各地の財務局を通して実施する。


地域の金融機関には、地元に密着した中小企業を育て、経営改善の取り組みなどをサポートする役割が期待されている。しかし、相変わらず、事業の内容や将来性よりも、担保や公的信用保証の有無を重視して融資する金融機関は、まだ多い。中小企業の経営者からは「金融機関の目利き力が足りない」との不満も聞かれる。


全国調査によって、支援のあり方をめぐる金融機関側と中小企業側との認識のズレを明らかにし、目利き力の向上など課題解決への方策を探ってもらいたい。


中小企業の中には、魅力的な商品を作り出す潜在力を秘めながらも、運転資金を集められなかったり、独力で販路開拓ができないなどの理由から、ビジネスチャンスを逃している企業が珍しくない。地元の産業界の動向をはじめ、さまざまな情報が集まる金融機関の支援があれば、事業が軌道に乗るケースも出てくるだろう。


そこで、ある地方銀行では、「ものづくり支援チーム」を設置し、大企業が途中で開発をやめた技術を中小企業で生かして商品開発できるよう、具体的な提案をしてビジネスにつなげる支援を行っている。また、ある信用金庫は、担保を原則必要としない低利融資で地域内での起業を積極的に応援し、利用件数を順調に伸ばしているという。


金融庁は調査で、こうした経営改善や創業の支援などで優良な取り組みがあれば、公表を検討している。事例の公表を通して、中小企業を育てる金融が広がることを期待したい。


中小企業の再生は、地域経済の地盤沈下を防ぐだけでなく、金融機関の経営にも影響をもたらす。調査を機に、中小企業を支援する取り組みがどこまでできているか、金融機関側も今一度、融資の姿勢や内容について自己点検を行ってほしい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ