e平和安全法制 まともな安保論議を回避するな

  • 2015.08.03
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年8月3日(月)付



「平和安全法制」関連法案の国会審議で、民主党など一部野党が、徴兵制導入に道を開きかねない法案などと言って不安をあおっている。


「戦争法案」といった批判と同じ一方的で根拠のないレッテル貼りであり、とうてい安全保障政策と真摯に向き合う指摘とは言えない。


徴兵制とは、個人の意思にかかわりなく一般国民に兵役を義務付ける制度である。政府はこれまで、国会答弁などを通し、徴兵制は憲法18条の「その意に反する苦役に服させられない」との規定、または、憲法13条が定める個人の尊重の原則に反するとの理由で、憲法の下では許されないと断言してきた。


安倍晋三首相も今国会で「明らかな憲法違反。たとえ首相や政権が代わっても徴兵制の導入はあり得ない」と繰り返し答弁している。


このように徴兵制に関する政府見解は一貫している。今回の法案審議の中であえて取り上げるまでもない徴兵制の問題を、なぜ一部の野党は持ち出すのであろうか。


法案によって自衛隊員が危険にさらされるため、将来的に入隊希望者が減って徴兵制になるとか、解釈改憲で徴兵制を導入する可能性があるとか、法案の内容とは全くかけ離れた荒唐無稽の話になっている。


"戦争"とか"徴兵制"といった言葉を使うことで法案に対する誤ったイメージを広げることが、野党の役割ではないはずだ。


国民が国会審議に求めている内容は何か。


一つは、この法案がなぜ必要なのか、また、法案の成立によって日本の抑止力がどう高まり、国民の安全が確保されるのかといった安全保障論である。もう一つは、憲法9条の下で自衛隊が行う「自衛の措置」(武力行使)はどこまで許容されるかを明らかにする憲法論である。


とかく抽象的になりがちな安全保障の議論だからこそ、争点を明確にし、国民に分かりやすく、丁寧に伝える責任が国会にはある。


徴兵制といった現実離れしたテーマを持ち出し、「批判のための批判」としか言えないような議論で、大事な安全保障の国会審議を混乱させてはならない。

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