e総合教育会議 全自治体で速やかに開催を

  • 2015.08.03
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年8月1日(土)付



いじめ問題など、教育現場の課題に首長と教育委員会が連携して対応するための新教育委員会制度が4月に発足して4カ月が経過した。この制度の下で首長と教育委が地域の教育方針などを話し合う「総合教育会議」が設置されたが、どこまで十分に機能しているだろうか。


文部科学省の調査によると、会議を開催した自治体は全体の約8割(7月中の開催予定との回答も含む)だったことが明らかになった。残り2割の開催予定は未定で、その大半は市区町村だ。自治体には、地方教育行政法で会議の開催が義務付けられている。未開催の自治体は、速やかに開催してもらいたい。


総合教育会議は、教育の基本方針となる大綱策定や、学校耐震化など予算や条例に関する内容、いじめ問題への対応などを議論し方向性を見い出す役割が期待されている。


昨年6月の法改正で会議の設置が決まったが、その背景には、2011年に滋賀県大津市の中学生いじめ自殺事件などを契機に、行政における責任の不明確さや危機管理の甘さに批判があった。こうした教訓を踏まえ、教育現場や保護者の考えが反映されるような議論が必要だ。


積極的に開催して教育政策の充実をめざす自治体もある。東京都足立区は、会議を今年度内に8回開催する予定で、既に3回開いた。外部有識者らから意見を聴く機会も設けて議論を深めるとしている。区担当者は「行政内の意識共有のスピードが非常に早くなった」と、公の場で関係者が直接議論できる利点を語る。こうした取り組みは他の自治体でも参考になるのではないか。


会議は原則公開だが、議事録の作成・公表は努力義務だ。積極的な議論が行われている自治体では、議事録が全面的に公開されているが、窓口のみの公開にとどまっている自治体も少なくない。教育政策に対する住民の関心は高いだけに、詳細な情報開示に努めてほしい。


会議で扱う議題の中には、防災教育など複数の自治体に及ぶテーマもあるだろう。今後、必要に応じて関係自治体が連携して議論する場も設け、施策の質向上につなげていくべきである。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ