e来夏の参院選から実施

  • 2015.07.29
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年7月29日(水)付



「10増10減」の改正公選法


参院選挙区の「1票の格差」を是正するため、定数を「10増10減」する改正公職選挙法が28日の衆院本会議で可決、成立した。2016年夏の次期参院選は新制度で実施される。そこで、今回の選挙制度改革のポイントを解説するとともに、東京工業大学の田中善一郎名誉教授に新制度や今後の抜本改革のあり方について聞いた。


制度はどう変わるのか


「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区して定数4減。

北海道、東京、愛知、兵庫、福岡は2増。
宮城、新潟、長野は2減。総定数、比例区はそのまま


今回、選挙区を「10増10減」することで、2013年の参院選で4.77倍だった最大格差は2.97倍に縮小する。「都道府県」単位だった選挙区が合区されるのは現憲法下で初めて。総定数242は維持し、選挙区146、比例代表96の配分は変わらない。


10増10減は、定数各2(改選数各1)の鳥取と島根、徳島と高知をそれぞれ合区して定数2(同1)の2選挙区に再編し、定数を4減らす。一方、定数4(同2)の宮城、新潟、長野の定数を2(同1)に減らし、北海道、東京、愛知、兵庫、福岡の定数を2(同1)ずつ増やす。


参院選挙制度改革では、最大格差がそれぞれ5.00倍、4.77倍となった10年と13年の参院選をめぐり、最高裁がいずれも「違憲状態」判決を下したことに対し、立法府がどう対応するかが問われていた。最高裁は、「都道府県」単位の選挙区制度を改め、不平等状態を解消する必要性も指摘していた。

 

格差は3倍以内になったものの、憲法が要請する「投票価値の平等」の実現は道半ばであり、不十分といえる。このため、改正公選法は19年の次々回選挙に向けて「制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」と付則に明記した。


今後、参院のあり方を含め、制度の抜本改革に向けた議論が必要になる。


公明党はどう対応したのか


格差「2倍以内」の実現へ、公明が独自案を提示。
議論進めるきっかけとなり、「合区」への道開いた


公明党は格差是正の実現に向け、各党間の合意形成をリードしてきた。

参院の各会派は13年9月以来、35回以上にわたって協議を重ねてきたが、話し合いは平行線をたどり、是正策をまとめることができなかった。来夏の参院選に間に合うよう制度を改正するには、周知期間を踏まえると時間は限られていた。


そのため、参院公明党は5月22日、これまで主張してきたブロック制を棚上げし、格差を2倍以内に抑える合区を容認、第1会派の自民党と第2会派の民主党に議論をまとめるよう迫った。


山崎正昭参院議長は同月29日、検討会を中断し、各会派間での個別協議に委ねたが、議論は進まず停滞。このままでは「違憲状態」で次期参院選が実施されてしまうため、参院公明党は6月15日、格差を2倍以内に抑える10合区案を発表。その後、各会派に理解を求め、民主や無所属クラブ、生活の3会派が公明案に賛同した。


民主・公明案は、「より『投票価値の平等』に応えた案」(毎日「社説」)などと評価された。


公明、民主など4会派に加え、維新、次世代、元気、改革の4会派も2合区案(10増10減案)を主張し、合区導入が大勢となっていく中で、合区に消極的だった自民党も最終的に合区を容認し、10増10減が実現した。改正法成立までの過程を振り返ると、公明案が議論を前に進める起爆剤となり、「合区」への道を切り開いたといえる。


衆参の本会議採決で自公両党の対応は分かれたが、双方で粘り強く議論し、お互いに納得しての結果だ。選挙制度は民主主義の土俵づくりで、政権運営とは別の問題である。


選挙制度の抜本改革をめざすことは共有認識となっており、与党として抜本的なあり方について議論を進めていく姿勢は変わらない。


格差是正の努力は評価


公明党が合意形成をリード


東京工業大学名誉教授 田中善一郎氏に聞く


現行制度の導入当初、「1票の格差」は2.62倍だったが、最近の選挙結果を見ると5倍近くまで広がっている。「違憲状態」を脱しなければならないので、選挙区の「合区」導入は一つの選択肢だと思う。


最高裁は「2倍以内」にとどめるよう指摘し、憲法学界も同様の考えが大多数だ。格差は「1.5倍以内」でないといけないという意見もある。本来は「2倍以内」が望ましく、今回の選挙制度改革は不十分ではあるが、2倍に近づける努力をしたという点では評価したい。

 

「合区」県からは「県の代表がいなくなってしまう」という声もあるが、憲法第43条では国会議員は「全国民を代表する」とあるわけだから、地域的に拘束される必要はない。地域の代表としては確かに県もあるが、州という発想もありうる。そうした意味で便宜的な「合区」であり、理論上は問題ない。

 

公明党が提案した10合区案は、格差が2倍を切るもので、より望ましかった。しかし、公明党が思い切った案を国会に出したことで、自民党は野党4党案に乗るきっかけになった。公明党が"捨て石"となったことで「合区」を導入することができたわけだ。公明党は選挙制度改革に大いに貢献したと見ている。


民意を反映するためには、全国を一つの選挙区とするか、大きく分けた選挙区で構成されるブロック制が理想的だが、「合区」は二つの県を組み合わせるという点で、幾つかの県を組み合わせるブロック制に向けた過程と捉えることができるだろう。


さらに、制度の抜本改革が迫られるが、新制度では定数1の選挙区が増えることになり、衆院の小選挙区と変わりない。今後は有識者会議が議論を進めている衆院の選挙制度改革も視野に入れ、衆院の選挙制度との関係性を踏まえて改革を進めるべきだ。


参院は多様な民意を反映するため、できるだけ規模の大きいブロック制が望ましい。投票方法については、公明党が掲げる大選挙区制でもいいし、非拘束式の比例代表制でもいい。議会運営から見て、参院の定数はこのままでいいのか、海外のようにもっと多い方がいいのかも含めた議論が必要だと思う。

 

制度の抜本改革に向け、ブロック制を掲げてきた公明党には引き続き頑張ってもらいたい。

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