e「さい帯血でiPS」初実現へ

  • 2015.07.28
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2015年7月28日(火)付



研究利用に向けて環境整備

京大・山中教授が山本副大臣に要望



山本香苗厚生労働副大臣(公明党)は27日、厚労省で、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授とNPO法人「さい帯血国際患者支援の会」の有田美智世理事長に会い、人体のあらゆる細胞に分化し、再生医療への活用が期待される人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究状況について懇談し、要望を受けた。


席上、山中教授は、良質なiPS細胞を作り出すには赤ちゃんのへその緒にある、さい帯血が有効であることに言及し、「さい帯血由来の初のiPS細胞を作製しており、年内にも発表できる予定である」と報告。また、公明党の主導で実現した、さい帯血をiPS細胞研究に利用できるようにした「造血幹細胞移植推進法」(2014年1月施行)をあらためて評価した。


その上で山中教授は、iPS細胞の研究に、さい帯血を利用するには提供者の同意が必要だが、住所変更などにより提供者の所在が分からず、確認に時間が掛かることなどから検体が思うように得られない状況を説明。さい帯血の利用に関する同意取得手続きの合理化を求めた。また、iPS細胞ストック構想を推進するため、さい帯血バンクにおけるさい帯血のさらなる提供やさい帯血の保有状況に関する情報の開示なども要望した。


有田理事長は、さい帯血をiPS細胞に利用することについて「好意的に捉えてもらえる環境整備を進めてほしい」と訴えた。


山本副大臣は、iPS細胞の研究を今後も全面的に支援する考えを示し、「各さい帯血バンクにおいて統一的な審査・提供手続きなどの体制を整え、さい帯血の提供が進むように環境を整備したい」と述べた。


バンク設立は公明が実現に奔走


さい帯血をiPS細胞に利用することができたのは、公明党が有田理事長らと共に、1990年代から設立のために奔走してきた「さい帯血バンク」の存在が大きい。また、造血幹細胞移植推進法は、党造血幹細胞移植法整備検討プロジェクトチームがつくった独自案が法律化されたものだ。



iPS細胞にはさい帯血が最適


患者本人からiPS細胞を作れば免疫拒絶はないが高額な費用と時間が必要。そこで山中教授は、1000人に1人が持つ他人への拒絶が少ない「HLA型ホモ」の細胞からiPS細胞をストックする構想を進める。"キレイな細胞"とされる、さい帯血はiPS細胞に適している上、さい帯血バンクには「HLA型ホモ」に関する情報が蓄積されている。100種類の「HLA型ホモ」のiPS細胞があれば日本人の約8割に対応した免疫拒絶が少ない細胞を作ることができる。

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