e台風シーズン 事前防災で被害を最小限に

  • 2015.07.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年7月22日(水)付



本格的な台風シーズンの到来か。先週末に台風11号が西日本を直撃したかと思えば、今度はいったん熱帯低気圧に変わった台風12号が"復活"し、今週末にも日本列島に近づく可能性があるという。


今年は例年に比べ、梅雨明け前から台風が多く発生している。5月上旬段階で7号を数えたのは、1951年の統計開始以降で最も早い。


気象庁によると、台風の半分以上は例年8~10月に集中(81~2010年の平均)しており、これから本腰を入れた対策が必要になる。国や地方自治体は、事前防災を徹底し、被害を最小限に食い止めてもらいたい。


全国の市町村で導入が広がっているのが、事前防災行動計画「タイムライン」だ。これは、大規模災害の被害を抑えるため、行政や企業、住民などが事前に「いつ」「誰が」「何をするのか」を明確にしておくもの。


12年に米国東海岸を襲ったハリケーン・サンディでは北米で130人以上の犠牲者が出たが、ニュージャージー州沿岸部の一部地域では4000世帯が被災したものの、タイムラインによる事前防災行動を迅速に行った結果、犠牲者を出さずに済んだ。


今回の台風11号で試験的にタイムラインを運用した高知県大豊町は、豪雨や暗い中での避難が困難な高齢者らを想定し、雨が降る前の明るい時間帯から早めの避難を呼びかけた。


町の担当者は「地域の区長を通じて呼びかけた効果もあり、今までなら応じなかった人も避難してくれた。経験を今後に生かして、タイムラインを改訂していきたい」と語っている。


国も積極的な情報発信に取り組んでいる。台風11号で気象庁は、土砂災害の警戒情報を広範囲に発令した。これを受け「市町村が早めの避難勧告・指示を出したことが台風被害の軽減につながったとみられる」(内閣府)。


一方で、過去には、大雨警報と土砂災害警戒情報が発令されていたにもかかわらず、町が避難勧告を出さずに被害が拡大したケースがあった。同じ失敗を繰り返さないよう、国と地方自治体は連携を密にして事前防災対策を進めてほしい。

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