e政策評価制度見直し 国会の監視機能、さらに高めよ

  • 2015.07.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月14日(火)付



効率的な行政の実現には、不断の事業見直しが必要だ。


参院は8日の本会議で、各府省が自らの事業を評価し公表する、政策評価制度の見直しを求める決議を全会一致で採択した。制度充実に向け同院が2003年と05年に行った2度の決議を受け、政府は改善に取り組んでいるが、制度の実効性を高めるため一層の努力が求められる。


これを機に、政府は「地方創生」など、新たな課題に対応した制度のあり方を追求してもらいたい。国際連合の評価グループなどは今年を「国際評価年」と定め、昨年12月の国連総会では、国単位での評価能力構築を推進するための決議が採択された。こうした国際潮流にも対応する必要がある。


今回の参院決議には、総務省による「総合性・統一性確保評価」の強化や地方創生への貢献が盛り込まれた。


政策評価は原則、各府省が自ら行うが、評価専担組織である総務省は、省庁横断的な政策を評価する「総合性・統一性確保評価」を実施できる。13年度には「ワーク・ライフ・バランス」「消費者取引」「食育」の3件を評価、ワーク・ライフ・バランスの結果は年度内に関係省庁に勧告された。今後、実施件数の拡大や外部シンクタンクの活用などにより、同評価を強化すべきだ。


地方創生への貢献に関しては、各省庁のノウハウ(手法)を知る総務省が、地域活性化策の実施・効果や国の支援策の状況を検証し、政策推進につなげていくことが重要ではないだろうか。


01年に政策評価制度が創設されるまで、日本の行政は「企画偏重」といわれ、政策実施後の見直しは軽視されがちだった。02年4月の実施以来、評価結果は政策の見直しや改善に生かされている。13年度は政府全体で2559件の評価を実施、その結果は14年度予算要求で約3600億円の削減につながった。


さらに制度を充実させる方策として、国会審議で行政の評価結果を活用することが肝要になる。特に、参院は行政監視機能を高めるため設置された行政監視委員会を生かすべきだ。ここ数年、議論の低調が指摘されている同委を通じて、政策評価を再チェックする役割を高めてほしい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ