e朝型勤務の導入 効率的な働き方実現の契機に

  • 2015.07.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年7月10日(金)付



政府は今月から、国家公務員を対象に勤務時間を前倒しする朝型勤務「夏の生活スタイル変革(通称=ゆう活)」をスタートさせた。業務の特性などを考慮して、全職員の4割強に当たる約22万人が実施。8月末までの2カ月間、出勤時間を1~2時間程度早め、退庁後の夕方以降の時間を有効活用できるようにする試みだ。長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向け、民間も含め働き方を変えていく契機にしたい。


日本は欧米主要国に比べ、労働生産性が低い。日本生産性本部によれば、日本の労働生産性は先進7カ国の中で、20年連続の最下位となっている。人口減少と少子高齢化の進展で、労働力人口は減っていく。一人一人の「稼ぐ力」を高める生産性の向上は喫緊の課題だ。


昨年5月から朝型勤務を導入したある大手商社は、社員一人当たりの残業時間が総合職で月約4時間減り、業務の効率もアップしたという。


労働時間が長ければ仕事の成果が上がるとは限らない。内閣府の研究結果(2010年度)では、ワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組んでいる企業の方が、業績は良い傾向にあることが明らかになっている。不必要な残業を減らし、メリハリの利いた働き方に転換する必要がある。


問題は賃金との兼ね合いだろう。毎月の残業代が少なくなり手取り収入が大幅に減ると、社員の理解は得られにくい。業績が向上もしくは維持できれば、賃金水準が大きく変わらない仕組みを考えるべきではないか。


先の大手商社は、早朝の勤務時間は深夜勤務と同様の割増賃金を支給するのに加え、早朝出勤者には軽食を無料提供している。多数の社員から、読書などの自己啓発や家族だんらんの時間が増えたなど、朝型勤務の利点を実感する声が上がっており、社員の意欲を高める工夫が評価につながっているのだろう。


最近は、仕事の成果に応じて賃金を決める企業も出始めている。労働生産性を高めるためにも、まずは企業や社員の意識を変えることが重要だが、仕事の成果が反映される賃金のあり方も真摯に検討すべきである。

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