eコラム「北斗七星」

  • 2015.06.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年6月25日(木)付



"老い楽の人生"を過ごしたいが世の中の有り様は厳しい。有識者らで構成する「日本創成会議」は今月初めに東京、埼玉、千葉、神奈川1都3県「東京圏」の高齢者を26道府県41地域へ移住させる提言を出した◆「東京圏」の75歳以上の後期高齢者が今後10年間で397万人から572万人へと175万人も増える。介護施設のベッド数だけで13万床の不足を予測、「東京圏」で補えない介護サービスを地域に負担してもらおうという◆首相が議長を務める「まち・ひと・しごと創生会議」も、首都圏の高齢者が健康なうちに地方移住を促す方針を出した。地方の介護サービスを充実させ高齢者の移住を進める方向だ◆だが「日本創成会議」の移住プランに地方自治体は「負担押し付け」と反発。15日に政府が発表した2025年の医療体制の推計でも、全国の病院ベッド数を最大20万床削減、その分を在宅へ移行しようというから地方も病院のベッド数を削減されるし介護施設の不足などが生じるのは必至◆人口の一極集中が続けば介護サービスは低下する。とはいえ家族や友と別れて移住することは、時には"孤独"と同居させることにもなる。「安心の老後」とは何か。後期高齢者の不安をあおるだけでは、国民の怒りを買うことになる。慎重な議論を願いたい。(流)

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