e食育 若者の食の改善につなげたい

  • 2015.06.08
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年6月5日(金)付



食の安全に対する意識が高まる一方、食生活の大切さなどを教える「食育」への関心度が過去最低を記録した。特に、若い世代の食に対する意識の低さが目立つと、先週に閣議決定された「食育白書」が警鐘を鳴らしている。


実際、内閣府の意識調査では、20歳代男性の半数余りが健全な食生活を「心掛けていない」と回答。20、30歳代の朝食を欠食する割合も他年代と比べて高い。男性の若年層では、1日全ての食事を1人でとる「孤食」傾向も進んでいる。


公明党が推進した食育基本法施行から10年。この間、食育の推進目標などを定めた「食育推進計画」を作成する市町村は8割近くとなり、食育の取り組みは着実に定着している。ただ、若者の食生活を見る限り、その効果がどれほど出ているか、検討すべき課題がないわけではない。


何よりも、これまで学校教育を中心に進められてきた食育の対象を、さらに広げていくべきだろう。


既に大学や企業などではユニークな取り組みが行われている。例えば、京都府のある大学では、朝食をとらない学生が多いことから、食生活や生活リズムの改善をめざし、食堂で「100円朝食」の提供を始めた。その結果、朝食を食べる学生が増えただけではなく、教授らから「授業への集中力が高まっている」との声も上がっているという。


また、社員同士がそれぞれ1、2品ずつおかずを持ち寄り、みんなで昼食をとる「持ち寄りランチ」を行う民間企業がある。それによって社員は、多彩な食材を口にすることができる。さらに、社内のコミュニケーションの活性化にもつながっている。


自治体の中には、親元を離れて一人暮らしを始めることが決まった高校3年生の男子を対象に自炊料理教室を行ったり、出前型の食育・料理講座を開くところもある。こうした各地域や民間団体の工夫を広げていきたい。


今年度は国の「第2次食育推進基本計画」の最終年度であり、政府は現在、次期計画の策定作業を進めている。これまでの取り組みの成果や課題を十分に検証するとともに、若い世代に対する施策の充実に力を入れてもらいたい。

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