e担い手へ農地集積

  • 2015.06.03
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年6月3日(水)付



政府 バンクのフル稼働めざす

キャベツ団地計画、コメ生産などに活用



地方の基幹産業である農業の再生は、地方創生の重要なカギを握る。耕作放棄地が滋賀県の面積に匹敵するほど増えたり、生産性の低い農地が分散していることから、政府は「農地中間管理機構」(農地集積バンク)を全都道府県に立ち上げ、農地を所有者から借り受けて農業経営に意欲のある担い手に貸し出す事業に乗り出している。さらに、発足初年度となった2014年度の実績を検証し、今月開かれる「農林水産業・地域の活力創造本部」で、農地集積バンクの"フル稼働"に向けた議論を開始する方針だ。


農地集積バンクは、営農の意欲がある認定農業者や特定農業団体などの担い手に農地を集積し、生産性を高めるのが目的。23年までに担い手の農地利用面積が農地全体に占める割合を現状の5割から8割に引き上げることをめざし、今後10年の農政方針を示す「食料・農業・農村基本計画」でもバンクの役割の重要性を強調している。


バンクの14年度実績は約3万1000ヘクタールだった。これは当初の目標約15万ヘクタールの2割程度の水準。貸し手から農地がなかなか集まらないという課題を残した。農林水産省は、実績低迷の要因として、バンクの役職員がデベロッパー(開発業者)であるとの認識を欠いていた点や、貸し手への周知不足などを指摘。「全都道府県で軌道に乗せていく必要がある」(林芳正農水相)として、具体的な改善策に取り組んでいく。


目標に届かなかったとはいえ、農地利用の機運が高まった側面もある。ここ数年、40%台後半の横ばいだった担い手の農地利用面積が14年度に増加に転じ、バンクを通さない取引を含め、前年度より6万ヘクタール増の50.3%となった。


全国各地では、新しい事例も見られるようになった。イオングループ会社のイオンアグリ創造株式会社は今春から、大手小売企業として初めてバンクを活用して水田を借り、コメ生産を始めた。埼玉県の品種「彩のかがやき」を中心に栽培し、今秋に初収穫を予定する。広島県では、野菜の重点品目であるキャベツの生産拡大に向けてバンクを活用し、耕作放棄地をキャベツ栽培の大規模団地にリニューアルする計画を立案した。


このほか、集落単位で協力して農業生産活動を展開する集落営農にも有効だ。農水省は「富山県や福井県など集落営農による農業が盛んな地域で農地中間管理機構の活用が進む」と見込む。



公明、事業促進訴え



公明党は、農業の生産基盤を強化するバンクの役割を重視。4月15日の衆院農水委員会で稲津久氏、5月19日の同委員会で石田祝稔氏がそれぞれバンクの事業促進を訴えたほか、公明党として近く政府に提出する成長戦略の提言にも盛り込む考えだ。

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