e派遣法改正案 ここがポイント<上>

  • 2015.05.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年5月26日(火)付



衆院で審議中の労働者派遣法改正案について、ポイントをQ&A形式で紹介します。



法改正で何が変わる?



労働者を支援、ルールも明確に


Q 改正のポイントは。


A 正社員化を望む派遣労働者にはその道を開き、派遣として働くことを希望する人には待遇の改善を進めます。業務ごとに派遣労働者が働ける期間が異なる現行制度も改め、全ての業務に一律の期間制限を設けることで、派遣元(派遣会社)、派遣先、派遣労働者の全てにとって分かりやすいルールにします。


Q 現在の課題は。


A 能力開発の機会に乏しく、雇用が不安定になりがちな派遣労働者への支援が不十分です。


また、派遣労働者が期間の制限なく働ける「専門26業務」(パソコン操作、秘書など)には「該当する業務が分かりにくい」「時代によって専門性が変わるので制度が不安定」などの指摘があります。


Q 法案提出の経緯は。


A 民主党政権時代の2012年に成立した改正派遣法に、民主、自民、公明の3党共同提案で「26業務」の早急な見直しを求める付帯決議が盛り込まれました。今回の法改正は、この付帯決議を踏まえたものです。


その上で、今国会提出の法案は公明党の要請による修正で、派遣労働が臨時的な働き方であるとの原則や、派遣労働者を保護する趣旨が鮮明になりました。



なぜ同じ職場に3年まで?



不安定な働き方の固定化防ぐ


Q 改正案では、派遣元に有期雇用されている派遣労働者の場合、派遣先の同じ職場で働ける期間が、全ての業務で上限3年となります。狙いは何ですか。


A 短い契約期間の有期雇用を繰り返す派遣労働者が、不安定な状態のまま同じ職場に同じ仕事で固定されないようにすることです。3年ごとの職場変更は、キャリアアップの機会を確保することにもなります。


Q 現在、「26業務」以外の一般事務などの業務は、派遣労働者の働ける期間が原則1年、最長3年です。改正で何が変わりますか。


A 業務とは会社の「係」に当たるため、現在は係を変えるだけで派遣労働者を同じ職場に固定できてしまいます。一方、職場は「課」に当たります。改正案では、同じ派遣先で働き続ける場合でも、3年で仕事内容が異なる課に移る必要があるため、今よりも経験を積めるようになります。


Q 「26業務」も期間制限の対象になりますが、雇用が不安定になりませんか。


A 期間制限を迎える全ての業務の派遣労働者に対し、派遣元が▽派遣先への直接雇用の依頼▽新たな派遣先の提供―などを講じる「雇用安定措置」が、新たに義務化されます。

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