e農地集積バンク 成功例示し貸し手の不安解消を

  • 2015.05.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年5月22日(金)付



農林水産省は19日、耕作放棄地などを借り受け、意欲ある農業者に集約する農地中間管理機構(農地集積バンク)が本格始動した2014年度の実績を公表した。機構を通じて貸し付けなどが行われた農地面積は約3.1万ヘクタールにとどまり、借り手側の需要面積である23万ヘクタールと大きな開きがあった。


農業の生産性を高めるために農地の集約や大規模化を求める声は根強い。しかし、農地を人に貸し出すことに不安や抵抗感を抱く農家は多いため、借り手側の旺盛な需要に応えられないのだろう。農水省は機構による農地所有者への働き掛けが乏しかったことや、制度の周知不足なども課題に挙げている。機構は、初年度で明らかになった課題を早急に解消してもらいたい。


機構の利用を農地所有者に促すには、優良な事例の発信が求められる。成功した事例を紹介し、機構の利用が貸し手と借り手の双方に大きな利点があることが理解してもらえれば、農家の決断を促す契機となるかもしれない。


農水省によると機構の利用が多い地域は、住民が協力して作業を行う集落営農が盛んで、地元の話し合いが活発な地域と重なるという。機構の利用が少ない地域には、機構の職員が積極的に農家への説明に出向き、制度の利点を伝えることも重要だ。丁寧な話し合いを重ね、農家との信頼関係ができれば、農地貸し出しの不安解消にもつながる。


機構の事業と、市町村が作成する「人・農地プラン」事業との連携も強めていきたい。同プランは、地域の農業を、誰が担い、どう進めるかを地域で話し合って、まとめるものだ。機構のめざす方向と共通する部分も多く、同プランとの連携強化は、機構と行政、農業者らの関係を深めるのに役立つはずだ。


19日の衆院農水委員会で公明党の石田祝稔氏は、機構の事業と農地整備の一体的な推進を訴え、政府は機構の関係する地域に予算を優先配分する方針を強調した。使いやすい農地を望む農業者の声は多い。大区画化などの基盤整備も早急に進める必要がある。


農業の生産性を高めるために、機構は貸し手と借り手に十分配慮して対応を進めてもらいたい。

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