e子どもの貧困 「貧しさの連鎖」断つ支援着実に

  • 2015.05.15
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年5月15日(金)付



深刻化する子どもの貧困を解決するため、政府は対策の強化を進めている。


先月下旬には、関係府省会議の初会合を開き、経済的に厳しいひとり親家庭や多子世帯の自立に向けた支援策の検討を開始した。有識者の意見も聞きながら、政府全体として効果的な政策を打ち出す予定で、取りまとめた内容は2016年度予算の概算要求に反映させる。実効性ある対策を期待したい。


厚生労働省の最新調査によると、18歳未満の子どもの約6人に1人が、平均的な世帯所得の半分に満たない家庭で暮らしている。その人数は、300万人余りに上るといわれる。


貧困には、「負の連鎖」がつきまとう。経済的な理由で進学を断念せざるを得ない子どもは、成人しても安定した収入を得られる職に就けず、親と同じように貧困にあえぐケースが多い。生まれ育った環境で将来が左右される事態は、本来あってはならない。


しかも、不十分な食生活の影響で栄養が偏りがちになり、健康面も心配だ。


子どもの貧困を解決するには、税制をはじめ、さまざまな支援策が必要である。このため、福祉や教育、保健など多くの分野で横断的な政策を打ち出せる自治体の役割が大きい。


本年度を「子どもの貧困対策元年」と位置づけている東京都足立区は、専門の部署を設けて、出産前から就労までのライフステージごとにきめ細かな対策を打ち出した。例えば、授業内容の理解度が不十分な小学生に、個別の学習指導を行う「そだち指導員」を小学校に配置する。区立の中学校には、生活面から生徒を支援し適切な学習環境の構築を手助けする「生活指導員」を置く。基礎学力の定着をめざす両対策は、区議会公明党の推進で実現した。


同区は、有識者を交えた検討会議を設け、16年度以降の対策についても議論していく方針である。こうした取り組みを、他の自治体も参考にしてほしい。


子どもたちへの支援は、次の時代を担う大人を育てることでもある。子どもたちが将来に希望を持てるよう、手厚い政策を着実に進めていかなければならない。

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