eコラム「北斗七星」

  • 2015.05.12
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年5月12日(火)付



肉眼で捉えにくいものを数値や画像処理で表す可視化。曖昧さを取り除く"技術"でもある。サッカーJ1リーグの試合をTV観戦し、この技術が徹底して活用されていることを知った◆今季を占う大一番となった浦和レッズとガンバ大阪の首位決戦。NHKサッカー解説者の山本昌邦氏が、画面に表示される各選手の走行距離や時速24キロ以上で1秒以上疾走するスプリントの回数をもとに論評していたのだ。選手の動きの切れ具合がよく分かった◆データはピッチから15メートルの高さに設けた特殊カメラ3台1組の装置2機で把握。選手の走行距離・速度、プレー範囲、選手間の距離などを計測・分析し、配信もできる。スウェーデンの企業が開発した。NHKによれば、既に欧州各国で利用されているらしい◆ドイツの場合、選手のスプリント回数などが試合ごとに計測され、戦術分析に利用されていると聞く。勿論、可視化の流れはサッカー界だけではない。各地で導入が進む議会質疑のインターネット中継は一例だろう。ただ、中継を見ただけでは質疑の成果を判別できないケースは多い◆提案の実現に必要なのは、行政当局や各党への説得。その経過を追い可能な限り可視化すれば、実績に見えるような宣伝手法やイメージ重視に傾く政治をただすことにもなろう。心して報道したい。(田)

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