eコラム「北斗七星」

  • 2015.05.07
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年5月5日(火)付



古代の中国では、戦争の殊勲者を表彰する行為を「休」といい、「幸い、めでたい」という意味があった。王は、手柄を立てた人物に褒美として品物と休みを与えたそうだ。「白川静博士の 漢字の世界へ」(福井県教育委員会)で知った◆今年の春季労使交渉では、ベースアップに踏み切る企業が相次いだ。いつも目の回るような忙しさに追われる企業戦士にとっては、給与アップとこの大型連休が褒賞に当たるのかもしれない◆連休が明けると、国会では労働関連の法案が幾つか審議入りする予定だ。労働時間はどうすれば削減できるか、多様な働き方を実現するために何が必要か、など法案の中身も踏まえてしっかり論議を深めてもらいたい◆長時間労働を許容する文化にどっぷりつかってきた日本の企業に、長年の発想を変えてもらうのは容易ではない。しかし、休みやすい職場環境の整備は人材の吸収力向上につながる。まずは、長時間労働の是正が企業側にどんなメリットをもたらすか理解してもらい、改革に踏み出すしかない。この取り組みの先に、短時間で効率的な仕事を進め、成果を上げて休む社員が評価される企業風土が生まれていくのではないだろうか◆行政や労使が問題意識を共有し、だれもが「めでたい、めでたい」と思える仕組みをつくってほしい。(明)

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