e「脱水銀」社会へ 使用製品の適切な回収を促せ

  • 2015.05.01
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年5月1日(金)付



水俣病が公式に確認されてから、きょう5月1日で59年を迎える。メチル水銀を原因とする水俣病は根本的な治療法がなく、いまだに多くの患者が健康被害に苦しみ続けている。


強い毒性を持つ水銀は一度、環境に排出されてしまうと循環しながら残留し、生物の体内に蓄積する。日本では水銀の使用・排出量は減っているが、まだ年間8トン程度が製品に使用されている。世界的に見れば、新興国を中心に依然、さまざまな用途に水銀が使われており、各地で環境汚染が懸念される状況だ。


悲惨な水銀禍を二度と起こさないためには、水銀の拡散を防ぎ、できる限り使わない「脱水銀」の取り組みを進めなければならない。


今国会には、2020年までに水銀の使用や輸出入を原則禁止にする「水銀に関する水俣条約」(13年採択)の批准に向けて、水銀対策を厳格化する法案が提出されている。法案は、国による水銀汚染防止計画のほか、水銀含有製品の製造禁止などが盛り込まれており、条約の発効後に施行される。


また、法案は市町村に水銀使用製品を回収する努力義務を課す。蛍光灯や電池、体温計など水銀使用製品を適切に回収すれば、環境汚染のリスクを減らせるからだ。


ただ、環境省によれば、水銀使用製品の分別回収を行っている自治体は約7割にとどまっており、回収方法も自治体によって異なる。水銀を使った蛍光ランプの回収・運搬中に破損し、排出してしまうケースも珍しくない。


法案の成立を急ぐのは当然だが、法律が施行されるまでの間、自治体は専用の回収ボックスの設置など安全で効率的な回収ができないか、地域の事情に応じた工夫を検討すべきだろう。水俣病が発生した熊本県では、今年度、体温計などの回収キャンペーンを県内全域で展開したり、市町村の担当職員や事業者向けの勉強会を開催する予定だ。他の自治体も参考になる取り組みである。


製品によっては、水銀を使っているかどうか消費者が判断できないものも少なくない。製造業者には分別・回収が円滑にできるよう分かりやすく表示する努力を求めたい。

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