e発達障がいに光当てた公明党

  • 2015.04.17
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年4月17日(金)付



支援法施行から10年

都道府県・政令市に"窓口"設置



発達障害者支援法が2005年4月に施行され、丸10年を迎えた。国民のおよそ10人に1人が発達障がい【下記参照】を抱えているともいわれる中、同法に基づき、「発達障害者支援センター」が全国に整備されてきた。発達障がいに関する理解を広げるとともに、孤立しがちな本人・家族の相談に乗っている。



相談・就労支援など4倍超に



公明党の推進で制定された発達障害者支援法は、発達障がいを初めて法律に位置付け、国や自治体の支援対象とした画期的なものだ。


それまで発達障がいのある人への支援は、知的障がい者施策の一部として行われているに過ぎなかった。そのため、知的障がいを伴わない場合は施策の対象から外れ、役所で"門前払い"に遭うことも。知的障がいのある場合でも、個々に必要な支援が行き届いていなかった。


この10年間で、発達障がいに関する"地域の相談窓口"となっている発達障害者支援センターが全ての都道府県と政令市に設置された。社会福祉士や臨床心理士ら専門スタッフが相談を受け、本人の特性に応じた支援計画の作成・実施、公共職業安定所(ハローワーク)などと連携した就労支援などを行っている。


発達障がいに関する理解が進むにつれ、センターの支援実績も右肩上がりだ。統計を取り始めた05年度(1万5903件)と比べ、13年度(6万8438件)は4倍超に【グラフ参照】。


しかし一方で、センター職員が日々の相談業務に追われ、市町村や事業所のバックアップ(後押し)に十分な労力を割くことができなくなっている。


こうした全国的にみられる課題にいち早く対応してきたのが岡山県だ。同県は06年度から、センターが相談業務を丸抱えする仕組みを改め、それぞれの市町村にコーディネーターを配置し、専門窓口を設けてもらう事業を実施している。


県は配置に掛かる費用の2分の1を3年間に限って補助。現在では、県が管轄する26市町村(岡山市を除く)のうち、18市町でコーディネーターが活躍している。結果として地域ごとに異なるニーズ(要望)に対しても、よりきめ細かな支援が可能になっているという。


同県をモデルに国も14年度から、市町村や事業所の活用をさらに促す方針を打ち出し、各センターにそのための人材を配置する財政支援を行っている。



公明原案を基に議員立法



発達障がいに、いち早く光を当てたのは公明党だ。


04年1月、党厚生労働部会にワーキングチームを立ち上げ、有識者や関係団体などと意見交換を重ね、発達障害者支援法の原案を作成。


同年4月、公明党の呼び掛けにより、公明、自民、民主など超党派による議員連盟が発足し、公明党の原案を土台とした法案がまとめられ、12月に議員立法として成立した。


現在、超党派議員連盟の事務局長を務める高木美智代・党障がい者福祉委員長(衆院議員)は、「支援法施行から10年がたち、課題も出てきている。前向きに検証を進めていきたい」と語っている。



推計で国民の1割該当 社会に多様な受け皿を

日本発達障害ネットワーク理事長 市川 宏伸氏




支援法施行後の課題などについて、一般社団法人「日本発達障害ネットワーク」の市川宏伸理事長に見解を聞いた。

支援法の成立に当たっては、公明党に極めて熱心に取り組んでいただいた。

それから10年、発達障がいという言葉はだいぶん国民の間に浸透したが、その中身の理解はまだまだだ。「親の育て方が原因」などと誤った考え方が散見される一方、吃音が発達障がいに含まれるという基本的なことも知られていない。


文部科学省の12年調査によると、公立小・中学校の通常学級に通う児童・生徒の6.5%に発達障がいの可能性があるという。これに特別支援学校などを加えると、およそ10人に1人の割合で発達障がいの人がいると考えられる。


発達障がいの「障がい」を「特性」と捉え、社会に多様な受け皿を整備していくことが重要だ。現状では自治体間に温度差があるが、公明党地方議員には全体の底上げに向けた取り組みを期待したい。



発達障がい



発達障害者支援法では、自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障がい、学習障がい(LD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)、その他これに類する脳機能の障がいで、その症状が通常、低年齢で発現するものと定義。実際の症状は、言葉の発達に遅れがあったり、集中力や注意力が続かなかったり、読み・書き・計算が極端に苦手だったりと多種多様である。

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