eコラム「北斗七星」

  • 2015.04.03
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年4月3日(金)付




「賽は投げられた」。後にパクス・ロマーナ(ローマによる平和)の礎を築いたカエサルが、軍を率いてルビコン川を渡る際に発した有名な言葉だ。後戻りできぬという覚悟で決断することを指す◆実は、この言葉、カエサルがギリシャ語で言ったのを、ラテン語に訳されて伝わる過程で、語尾の1字が抜け落ち定着したものらしい。ギリシャ語を直訳すれば、「賽を投げろ」になるという。柳沼重剛編『ギリシア・ローマ名言集』(岩波文庫)にある◆それにしても、わずかな違いで、これほど印象が変わるものか。「投げられた」には天命と思わせる響きがあり、「投げろ」には強固な意志が見える。告示日を迎えた統一地方選前半の道府県・政令市議選。断じて勝つとの意志を一段と固めスタートしたい◆30年前、監督として阪神タイガースをプロ野球日本一に導いた吉田義男氏。既に監督を辞め野球解説者を務めていた氏に、勝利の要因を尋ねたことがあった。バース、掛布、岡田の強力打線と思いきや、意外にもセ・リーグで最も多かった141の犠打を挙げたのだ◆「ランナーがどの塁にいるかで相手へのプレッシャーが全然違う。常に攻めて攻め抜き勝利の流れをつくった」と。一方で「実績は無言の説得力」と、野球と公明評を重ねた氏。期待に応えるには、背水の陣で臨み勝つしかないのだ。(田)

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