e地域別がん情報 予防、治療法の改善に生かそう

  • 2015.03.31
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月31日(火)付




国立がん研究センターが26日に発表した、地域別の、がんの罹患状況を治療法や予防法の改善に結び付けたい。


同センターの分析によると、胃がんは男女とも日本海側に多く、食塩の摂取量が多い地域と重なる傾向がみられたという。また、大腸がんや肝がん、肺がんでも患者や死者の割合で、地域による偏りがみられた。


がんの発症は、たばこや飲酒、食事といった生活習慣に大きく左右される、といわれている。生活習慣の改善や検診受診率向上など地域別に求められる対策の検討を早急に進めてほしい。


今回の分析には、がんの種類や進行度、治療内容や治療後の経過などの情報を集める「がん登録」のデータが使われた。がん登録は、公明党が2006年に、がん対策基本法の制定を主導した際、強く推進を訴えたものだ。


がん登録に対する関係者の期待は極めて大きい。現在、がん患者数などは推計値が用いられているが、16年1月からは全国でがん登録が義務化されるため、正確な数が分かるようになる。


また、がん登録で集められた情報は病院にも還元されるため、がん情報の蓄積が進むほど、現場の医師らは、より有効な治療法を選択できる。がん治療の研究に使える情報も格段に増え、新たな知見の発見にもつながる。


例えば、今回の国立がん研究センターの発表では、長野県と広島県では、がんになる人の割合が全国に比べて高い一方で、がんで亡くなる人の割合は低い。詳細な分析を進めれば、有効な治療法や食事、生活習慣が明らかになり、全国に展開できる可能性もある。


実際、米国では1990年代に、がん登録が義務化されて以降、がんによる死亡率は目に見えて低下している。


これまで以上に、がんの実態を正確に把握できるようになれば「わが県に肺がんを治療できる医師は何人必要か」「どの年代の人に、どのようながん検診を行うのが効果的か」などの判断にも役立つ。


がん登録の成果が現れつつある今、これからは患者数、死亡者数を減らすための対策の具体化を全国で進めてもらいたい。

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