e地域福祉の担い手 人材育成進め、全国的配置を

  • 2015.03.30
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月28日(土)付




地域で社会的に孤立し、人知れず生活に困っている人の悩みに耳を傾け、住民や行政機関などと協力しながら支援するコミュニティー・ソーシャル・ワーカー(CSW)。地域福祉のセーフティーネット(安全網)づくりを担うCSWが今、地域の防災・減災対策においても欠かせない存在として、注目を集めている。


例えば、14日から18日まで仙台市で開かれていた国連防災世界会議に関連して、同市が主催したパブリック・フォーラム(一般公開事業)では、障がい者を含む、すべての被災者に配慮した防災対策のあり方について議論が行われた。


その中で、同市は2013年度から、災害により住宅を失い、自力での住宅再建が難しい人のための賃貸住宅「復興公営住宅」建設地域に、CSWを重点的に配置し、災害時に最も弱い立場に置かれる障がい者や高齢者などが孤立しないよう、CSWが重要な役割を果たしていると紹介した。


国連児童基金(ユニセフ)も、同会議終了後、各国に向けて、自治体などと連携しながら被災した子どもたちを助けるソーシャル・ワーカーの活動を支援するよう訴える声明を出している。


被災者支援の観点からも、CSWの役割に大きな期待が寄せられており、全国的な配置が求められているといえよう。公明党は統一地方選の重点政策の中で、すべての福祉事務所設置自治体で、中学校区に1人をめどにCSWを配置するよう提案している。


CSWはもともと、大阪府発の地域福祉を推進する専門職である。府が03年に策定した「地域福祉支援計画」に基づき、04年度から府の補助で府内の全市町村に配置されるようになった。秋田県、東京都、島根県などでもCSWを配置しているが、配置自治体は全国で1割程度と少ない。


CSWを務めるのはほとんどの場合、社会福祉士だが、厚労省が13年3月にまとめたCSW調査研究事業報告書によると、自治体がCSWを配置したくても、人材の確保が難しいという。大阪府のように社会福祉協議会などと協力し、CSWの養成研修を行うなど、自治体は人材育成を積極的に進めてほしい。

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