e農業改革 農協の自主性を尊重

  • 2015.03.26
  • 情勢/社会
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公明新聞:2015年3月26日(木)付




現場に即し、JA全中の社団法人化を半年延長

石田党農水部会長にインタビュー




政府は、農業協同組合(農協)と農業委員会、農業生産法人の組織を見直す農業改革の具体化を進めている【表参照】。今国会に農業協同組合法(農協法)等改正案を提出する予定。公明党は、政府の「農林水産業・地域の活力創造本部」がまとめた農業改革の骨格を大筋了承、法改正案骨子を了承した上で、条文の詰めの作業を続けている。農業改革の背景や法改正案のポイントなどについて、石田祝稔・党農林水産部会長(衆院議員)に聞いた。



農家所得増へ道筋描く



農業改革の主な内容―農業改革の最大の焦点は何か。


石田祝稔・党農水部会長 農協の改革です。その柱が、地域の単位農協(単協)を統括する全国農業協同組合中央会(JA全中)を一般社団法人にすることです。


JA全中が単協に対して行ってきた指導・監査権限もなくします。JA全中の外部監査組織「JA全国監査機構」は、独立した新たな監査法人にし、単協が会計監査を受ける際、この監査法人か一般の公認会計士のいずれかを選択できるようにします。


―なぜJA全中を改革するのか。


石田 JA全中は1954年、経営が危機的状況に陥る単協が続出したことを背景に、組織を再建するために導入されました。しかし、発足時に1万超だった単協は合併が進み、現在は700程度に減少しています。今回の改革は、各地の単協が主体性を高め、創意工夫を発揮して農作物のブランド化や海外展開などを行えるよう経営の自由度を高めていくのが目的です。


―農業改革の骨格をベースに法改正に向け、政府、自民党と協議してきたが。


石田 農協が、地域活性化や農家の所得向上に果たしてきた役割は高く評価しなければならず、公明党は現場の実態に即した自己改革を尊重するとの立場を基本としてきました。


JA全中の一般社団法人への移行期限をめぐり、公明党はスムーズな移行のために十分な期間を確保するよう訴え、移行期限を当初の2019年3月末から同年9月末に延長しました。会計監査を受ける単協の金銭的な負担が増えないようにすることや、農協監査士が引き続き組合の監査に従事できるなどの配慮も盛り込むことができました。


―農協の准組合員が事業を利用することへの制限も注目されていたが。


石田 過疎地や中山間地域では、農協が営む農産物直売所や金融事業などが生活を支える社会基盤としての役割を担っています。そうした事業を利用するため、農家以外の人が准組合員に加入している場合も少なくありません。公明党は実情に配慮して准組合員の事業利用は利用実態を5年間調査した上で、慎重に決める流れをつくりました。


―このほか法改正案で公明党の主張が反映されたことは。


石田 農業委員会の組織見直しでは、農業委員の中立性を確保する点から市町村長が議会の同意を得て任命することにしました。農業委員の任命に当たっては、市町村長が年齢や性別に偏りが生じないよう配慮することとし、青年や女性の積極登用を提案した公明党の主張に沿ってまとまりました。


―今後の決意は。


石田 農業改革の目的は、農業所得の向上や地域活性化につなげることです。国会審議を通して農家の所得を増やす明確な道筋を描きながら、丁寧に議論していきます。

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