e指定難病の拡大 就労希望の患者に支援強化を

  • 2015.03.25
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月25日(水)付




1月に施行した難病医療法で、新たに196疾病が医療費助成の対象として選定された。一般からの意見募集を経て正式決定し、7月から助成が開始される。先行助成を始めている別の110疾病と合わせると、対象患者は約150万人に拡大する見込みだ。


厚生労働省は今回対象に選ばれなかった病気についても、引き続き情報収集を進め、指定難病に追加していく方針だ。患者や家族の意見も十分に把握し、丁寧に議論してもらいたい。


難病患者に医療費を助成する制度は1970年代初めから、法律に基づかない治療研究事業として行われてきた。しかし、支援の対象や内容は十分といえず、常に厳しい経済情勢のあおりを受ける状況だった。このため公明党は、財政難を理由に対策の後退は許されないと一貫して支援の充実を訴えるとともに、患者を社会全体で支えるための法制化を求めてきた。


難病に対する新たな支援制度を患者や家族の安心につなげていかなければならない。そのためには、医療費以外の課題の解決も必要だ。


特に、難病にかかっていても通院や服薬を続けることで就労可能な患者は多い。地域の支援センターとハローワークなど関係機関の連携を強化し、就労を希望する患者が無理なく、仕事と治療が両立できるような環境づくりを進める必要がある。現在、全国15カ所のハローワークに配置されている「難病患者就職サポーター」を増員することも重要だ。


一方、改正児童福祉法で医療費を助成している子どもの難病は、成人の難病と対象範囲が異なるため、20歳になると公費助成が受けられなくなるケースが少なくない。今回の対象拡大で、成人後も支援を受けられるようになった病気は大幅に増えたが、中にはデータが不十分で、成人の難病の助成対象の要件に合うか判断ができなかった病気もある。情報収集や研究を急ぎ、成人後も支援が受けられるよう検討すべきである。


難病対策は、医療の提供体制の整備や医薬品・医療機器の研究開発の推進など取り組むべき課題は多い。患者・家族の視点に立って、対策を充実すべきである。

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