eコラム「北斗七星」

  • 2015.03.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年3月20日(金)付




本紙日曜版5面に好評連載中の『文学大博覧会』。正岡子規、小林一茶、森鷗外ら著名な作家の作品や生き様を面白く紹介してくれているのは作家の出久根達郎さんだ。その出久根さんが12日、2014年度芸術選奨で文部科学大臣賞に選ばれた◆出久根さんといえば『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞されているし、味のある文章の随筆家として広く知られている。2011年には日曜版『ことばの玉手箱』でもお付き合いいただいた。その中で印象に残った一文があった。タイトルは「がんばる」だった◆「がんばる」は昔から使っている日本語のように思っていたが、出久根さん曰く、夏目漱石の小説には「がんばる」という言葉はひと言も出てこないそうだ。だから明治時代には使っていなかったのでは、と推測する◆さらに「がんばる」は応援・気合い・忍耐・決意といった表現というより、江戸語の辞典によると「眼張る」と書き、両眼を大きく見開く、転じて見張りをする、目をつける、相手を狙うという意味があるそうである。「がんばる」は、実は野性的、戦闘的な表現だったのだ◆道府県・政令市議選の告示(4月3日)まで2週間と迫った。気合いだけの「がんばる」では負けてしまう。ここは原点に戻り完全勝利のために徹底した「眼張る」でいきたい。(流)

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