e『人間の復興』へ 意識調査から<下>

  • 2015.03.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年3月10日(火)付




差別経験 6人に1人

「福島の今」 爪痕深く 公明、政策提言を検討へ




今なお原発事故の爪痕が深く残る福島県―。自主避難を含めた県民の避難者数は、約12万人に上る。東日本大震災から4年、「福島の今」は、どのように変わっているのか。


意識調査では、「福島県出身」「福島県在住」を理由とした差別経験の有無を聞いた。その結果、「差別を受けたことがある」と回答した人は、6人に1人に相当する15.6%に上った。


具体例としては、「いわきナンバーの自家用車を駐車させてもらえなかった」「福島に住んでいたという理由だけでアパートを借りることができなかった」「東京の大学へ進学後、『放射能がうつる』などと暴言を吐かれた」などの声が相次ぐ。


寄せられたコメントの中には、最近の事例も少なくない。放射能や福島の現状への理解不足があらためて浮き彫りとなった格好だ。


福島県特有の苦悩も回答結果から垣間見える。


「子育て上の不安」の項目では、福島県在住者の回答が他県と異なる傾向が際立つ。被災3県の合計では、回答が多い順に(1)教育費(25.2%)(2)体力の低下(19.2%)(3)進学(17.8%)と続く。しかし、福島県では、(1)体力の低下(22.8%)(2)放射能(18.9%)(3)進学(17.1%)の順だった。


「就労」の項目でも"差"が生じている。回答者数に占める求職者数の割合は、岩手県が8.5%(342人中29人)、宮城県が8.2%(466人中38人)だったが、福島県では14.9%(585人中87人)に上った。


また、震災を機に転職を余儀なくされた人に対し、「現在の仕事の満足度」を聞いたところ、「不満」「どちらかといえば不満」と答えた人は被災3県の合計で39.5%だったが、福島県では51.5%に達した。


福島県雇用労政課によると、「原発事故の影響で故郷から離れざるを得ないなど、岩手、宮城の両県とは異なる事情がある」と話す。


今回の意識調査結果を基に、公明党は「人間の復興」「心の復興」に焦点を当てた新たな政策提言の検討に入る。

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