e成果挙げる 横浜市の待機児童対策

  • 2015.03.09
  • 情勢/解説
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公明新聞:2015年3月9日(月)付




公明提案の保育コンシェルジュが大きな役割を果たす



待機児童の解消へ、4月から子ども・子育て支援新制度がスタートします。2013年に待機児童ゼロを達成するなど短期間で大きな成果を挙げた"横浜方式"といわれる横浜市の取り組みを紹介します。



定員の増加も減少に結びつかず



厚生労働省によると、全国の待機児童は、2014年4月時点で2万1371人に上ります。4年連続で減少しているものの、大きな改善はされていません。


横浜市(全18区)では、04年4月に待機児童が1190人に達し全国ワースト1を記録しました。このため、保育所の整備を進め定員を増やした結果、待機児童は減少しました。しかし、07年には再び増加に転じ、10年には1552人に達し、全国ワースト1に返り咲いてしまいました。



必要なサービスを必要な場所で



待機児童の減少へ、横浜市では、10年度から待機児童対策を市の重点施策とし、新たな取り組みを始めました。


その一つが地域のニーズ(要望)や保育資源を最も把握している「区を主体とした推進体制の整備」です。


保育施設の定員は増えても待機児童の減少に至らなかった反省を踏まえ、区が中心となり、その地域にはどのような保育環境が必要かをきめ細かく調査。その調査結果を基に、人口増地域や駅の近くなど入所のニーズが多い地域に、保育所もしくは横浜保育室(市独自の基準に基づき認定する認可外保育所)などを整備してきました。


希望する場所に市有地が不足している場合は、整備可能な民有地と保育事業者を公募し、両者を仲介する形で保育施設を確保してきました。さらに、幼稚園での預かり保育を拡充するなど、必要な場所で必要なサービスが受けられるように努めてきました。


もう一つ、横浜市の待機児童を大きく減らしたポイントは全18区への「保育コンシェルジュ(案内員)の配置」です。


コンシェルジュは、保育を希望する保護者の仕事や生活スタイルなど個別のニーズや状況を把握した上で、地域の保育資源の情報に照らし合わせながら、保育所や横浜保育室、一時保育など、その人に合った適切な保育サービスを紹介します。



入所保留後も情報の提供続ける



また、アフターフォローも重要な業務としてとらえ、入所保留となった後も、保育状況や保護者の希望を確認しながら情報の提供を続けていきます。


横浜市は「保育コンシェルジュ」を11年2月に3区に配置、6月には全18区に配置しました。


こうした取り組みが実を結び、横浜市の待機児童は、12年4月には179人、13年4月にはゼロを記録するなど劇的に減少、昨年も20人と低水準を保っています。


「待機児童減少には、保護者の状況にあった適切なアドバイスを行う保育コンシェルジュの役割が大きい」(渋谷昭子・横浜市保育対策課長)と言います。


この保育コンシェルジュは、2回目のワースト1を記録した10年に、市議会公明党が、建物など施設の整備だけでなく、「多様な保育資源を組み合わせて保護者のニーズにマッチした保育サービスを案内する保育コンシェルジュといったサービスなども必要」と、"保育コンシェルジュ"という名称を挙げて具体的に設置の必要性を訴えたことがきっかけとなっています。



保育士の確保へ多彩な対策を実施



横浜市では現在も継続して待機児童対策に取り組んでいます。中でも大きな課題である保育士確保については、潜在保育士を対象とした就職面接会や保育士給与の改善、宿舎の借り上げ支援を行うなど多彩な対策を実施しています。

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