eコラム「北斗七星」

  • 2015.03.05
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年3月5日(木)付




「愛がYOUを刺激する」。色恋の話ではない。小田切徳美明治大学教授が、農山村移住(田園回帰)の調査から指摘する、最近の「U・Iターン」の傾向だ。松江市で開かれたフォーラムの講演で聞いた◆つまり、見ず知らずの土地に「I(愛)ターン」した若者の奮闘ぶりに刺激されて、地元に帰ると決心した「U(YOU)ターン」者が増えているという意味である◆同氏は、子ども世代を飛び越して孫世代がUターンする「孫ターン」の動きにも注目する。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』のケースだが、各地で事例が散見されるという。田園回帰の流れはいろんな形で現れているようだ◆昨年8月、内閣府は、20歳代男性の47・4%が「農山漁村への移住を願望する」という驚くべき調査結果を公表した。40歳代女性の移住に対する気持ちが高まっていることも明らかに。実際、明治大学と毎日新聞の合同調査によれば、2013年度に市町村の支援策を活用した移住者は全国で8169人。4年間で2・9倍になっている◆「いつでも、どこでも、誰にでも」。都市はモノとサービスを効率よく集中し、便利な生活を提供する。一方で、「今だけ、ここだけ、私だけ」の生き方を探して田園をめざす人がいる。多様な暮らし方が求められているのかもしれない。(中)

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