e国連の防災構想 救援から復興まで切れ目なく

  • 2015.03.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年3月2日(月)付




大規模自然災害から立ち直るため、救援活動と復興支援を切れ目なくつなげることが必要―国連開発計画(UNDP)は今月14日から仙台市で始まる第3回国連防災世界会議で、「ビルド・バック・ベター(災害後の再建)」の重要性を訴える。


東日本大震災からまもなく4年。政府は今、復興庁を中心にインフラ再建や地域の再興に全力を挙げている。


その中で公明党は一貫して「心の復興」を訴えている。被災者が希望を持って再起できるための支援が求められているからだ。この希望ある再起の重要性を示してきた国連機関がUNDPである。


UNDPは主に紛争後の混乱した社会で活動する。そこで必要とされる協力は緊急人道支援である。食糧や医療支援などを一気に進めなければ生命を守れない。しかし、その後には開発支援が必要になる。開発が未来を開き、人々に希望を与えるとUNDPは強調する。


開発支援の中で、がれき除去や建物復旧の作業員、また警察官などに地元の住民を採用し、雇用を創出することで希望が広がる。それによって、海外のパートナーシップ(支援)が、地元のオーナーシップ(自立)の確立を促す。


UNDPは、自然災害からの復興も同じプロセスであると指摘する。


人命救助など救援活動が終わるとすぐに地域の復興、地元産業の再建と振興を進める必要がある。それによって、一人一人に希望の灯をともすことができる。


救援から復興支援へ迅速に移行できる態勢をつくることが災害に強い社会の構築になる。これがUNDPがめざす「強靱な社会」である。


東日本大震災の復興は道半ばだが、希望につながる事業も次々に生まれている。東京電力福島第1原発事故に苦しむ福島県では、大型の海洋風力発電所の実験が進行中で、自然エネルギーの新たな拠点として期待されている。


UNDPの中満泉危機対応局長は先月、日本の災害復興の経験を国連防災世界会議で発信してほしいと訴えた。同会議を通して、自然災害大国である日本が世界の「強靱な社会」建設にどう貢献できるかを考えていきたい。

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