e少子化大綱の見直し 急ぎたい多子世帯の支援強化

  • 2015.02.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年2月18日(水)付




政府の少子化対策の指針となる「少子化社会対策大綱」の見直し論議が、内閣府の有識者検討会で進められている。検討会が近くまとめる提言を基に、政府は3月末までに新大綱を閣議決定する予定だ。


人口動態統計の年間推計によれば、2014年の出生数は過去最少の100万1000人。死亡数から出生数を引いた人口の自然減は26万8000人となり、減少幅は過去最大を記録した。少子化に歯止めがかからなければ、人口減少が加速し、地域の活力は損なわれ、社会保障制度の土台が揺らぎかねない。


少子化の原因には、若者の雇用の不安定化や晩婚化などの問題が複雑に絡み合う。子どもを産むかどうかは個人の判断を尊重すべきだが、産み育てやすい環境づくりは社会全体で進めなければならない。


安心して子どもを産めない理由の一つが、経済的負担の重さだ。特に、子どもが3人以上の多子世帯になると、食費や教育費などを含め、さまざまな支出が増える。ある調査では、第3子以降を産まない理由に「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ことを挙げた人が最も多かった。


検討会では、多子世帯への配慮として、買い物で割引サービスを受けられる「子育て支援パスポート事業」の充実や、公共交通機関での料金負担軽減の必要性が議論されている。自治体や企業、交通機関などから、どのような協力を仰ぐことができるか、多子世帯の支援策について、あらゆる可能性を探ってほしい。


妊娠から育児期間までを切れ目なく支援する仕組みづくりも重要になる。


現在は、医療機関や市町村の保健センター、保育所といった各機関が縦割りで親子に対して支援を行っているが、それぞれの連携は必ずしも十分ではない。


検討会の議論で対策の一つとして注目されているのが、ワンストップ拠点「子育て世代包括支援センター」である。同センターには保健師や助産師、ソーシャルワーカーを配置し、1カ所で幅広い相談内容に応じることができる。国が示している地方創生メニューにも取り上げられている政策であり、早急な整備に向けた議論を期待したい。

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