e所得格差 是正には経済成長が不可欠

  • 2015.02.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年2月7日(土)付




『21世紀の資本』を著し、所得格差の拡大に警鐘を鳴らしているパリ経済学校のトマ・ピケティ教授が来日したこともあって、「格差論議」が活発化している。


格差拡大をめぐっては、米国で上位1%の富裕層に、所得の20%が集中していることから、「私たちは99%だ」のスローガンを掲げたウォール街占拠運動が注目を集めた。


所得格差は、各国で程度は異なるものの、先進国共通の問題である。昨年来、国際通貨基金(IMF)や経済開発協力機構(OECD)などの国際機関は、「所得格差は大半のOECD諸国で拡大」「所得格差は成長の持続可能性を低下させる」など、格差是正の必要性を主張している。


こうした思潮を反映して、野党の中には、格差問題を、政権への攻撃材料にしようとする動きも出ている。


だが、格差問題を与野党の対立軸にしようとするのは間違いだ。そもそも行き過ぎた格差を是正することに反対する政党や政治家はいない。年末の衆院選でも、民主党は「アベノミクスで格差が拡大した」などと、争点化を狙ったが、有権者の共感を呼ぶことはなかった。多くの国民は、アベノミクスを支持し、経済成長の実現を通して格差が是正されることを期待した。


日本での所得格差は、デフレ傾向が続き、高齢化や人口減少が進むなかで起きた。民主党政権は歳出削減をめざす一方でバラマキ政策に傾斜し、デフレを止めることができなかった。「経済成長のビジョンがない」「企業を支援する視点が欠如している」と厳しく批判されたものである。


これに対して、自公政権は、デフレ経済から脱却し、日本経済を成長軌道に乗せて、企業が賃金を引き上げやすい環境をつくることに全力を挙げてきた。これまで、アベノミクスによって、失業率は低下し、有効求人倍率は上昇するなど、雇用の改善は大きく前進している。金融緩和、財政出動に続く、民間の投資拡大を誘引する成長戦略で、賃上げの動きを本格化させなければならない。


格差問題は「政治の重要テーマ」(山口代表)であることは間違いない。成長戦略を成功させ、その是正を進めていきたい。

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