e2015年春闘 中小・非正規にも賃上げ波及を

  • 2015.02.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月31日(土)付



2015年春闘が始まり、労使交渉が本格化している。



日本労働組合総連合会(連合)は、基本給を引き上げるベースアップ(ベア)を「2%以上」とする要求方針を掲げている。前年の春闘で要求した「ベア1%以上」を上回る水準だ。


経営側の日本経済団体連合会(経団連)は、春闘の方針を示す経営労働政策委員会報告で、ベアを「選択肢の一つ」として2年連続で容認した。経団連は、連合の要求には消極的なものの、定期昇給や諸手当を含めた年収ベースでの賃上げに前向きに対応するよう企業に促している。


労使がそろって「賃上げ実現」をめざすのは異例である。政府が、経済界と労働界を交えた政労使会議を通して賃上げを要請し続けてきた成果といえる。公明党の山口那津男代表も26日の経団連との懇談で賃上げへの取り組みを求めたところだ。各企業には最大限の努力を期待したい。


継続的な賃上げにより労働者の収入が増えれば個人消費が拡大し、企業の業績改善につながる。デフレ脱却には、こうした「経済の好循環」の実現が欠かせない。


ただ、財政基盤の弱い中小企業の中には、定期昇給や賞与の増加にも慎重な姿勢を示さざるを得ない経営者が少なくない。大企業の賃上げを、中小企業に波及させていく環境づくりが求められる。


原材料費の上昇分を価格転嫁できない中小企業は多く、賃上げの足かせの一つとなっている。昨年12月の政労使会議の合意では、中小企業が適正に価格転嫁できるよう、経済界が取り組むことが明記された。大企業は合意に沿って、下請け企業との取引関係の改善を進めてほしい。


労働者全体の約4割を占める非正規社員の賃上げも焦点の一つである。


大手自動車の労組では、非正規社員に関して、正規社員と同水準の月額6000円の賃金改善を求める動きが出ている。待遇改善の取り組みが広がることを望む。


政府の15年度予算案では、非正規社員への賃上げなどを行う企業に対する助成金が拡充されている。政府の支援策を積極的に活用して、企業には踏み込んだ決断を期待したい。

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