eコラム「北斗七星」

  • 2015.01.30
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年1月30日(金)付




「棒杭の商い」というエピソードがある。売る人がいなくても棒杭に値段表さえ付けておけば、いかに高い品物を並べておいても、買う人はきちんと代金を支払っていく◆無人販売所のことだが、後で商人が来て、精算するとピタリと勘定が合う。江戸中期、財政難に苦しむ米沢藩を再建した上杉鷹山の改革の中で生まれた一つの美風といわれる◆鷹山が米沢藩に入国する際に、灰の中に残った火種を「改革の火種」になぞらえ、その火種を藩士や領民の心に次々とともし、官民一体の改革を成し遂げていく「火種運動」は有名だ。改革に向けて、鷹山は徹して町や村を歩き、領民と対話し考える。領民はその誠意に打たれ、人々の中に「思いやり」「一人を大切にする心」「信頼」が育まれていく◆「小説 上杉鷹山」(童門冬二著)の中で、鷹山と家臣が棒杭の商いを見る場面がある。その時、家臣が鷹山に「あなたは、潰れかかった藩を再建しただけでなく、人の心を甦らせたのです」と語るくだりが印象に残る◆地方創生を進める上で、「その担い手が地方議員であり、公明党のネットワークの力だ」(山口那津男代表)。全地方議員が「生活者代表政党」(佐々木信夫・中央大学教授)との期待を背に、住民に寄り添って政策を生み出し、魅力ある地域づくりの先頭に立つ。(紀)

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