eコラム「北斗七星」

  • 2015.01.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年1月26日(月)付




月刊誌『田舎暮らしの本』(宝島社)の特集「日本『住みたい田舎』ベストランキング」を興味深く読んだ。自治 体へのアンケートを基に、自然環境や移住者支援、子育てのしやすさなど95項目を分析したもので、島根県大田市 が総合1位に選ばれていた◆同市は、空き家バンクや就職・就農支援の充実などが高く評価され、「移住者歓迎度は 文句なし!世界に誇る日本のふるさと」と紹介されている◆「過疎」という造語は中国山地で生まれたと言われて おり、過疎化がいち早く進んだ地域だ。その島根県の中山間地や離島の3分の1を超えるところで子どもが増え、「 田園回帰」の波が起きているという◆そう報告する島根県中山間地域研究センターの藤山浩・研究統括監は、人口 減少に抗う処方箋の一つとして、「地域人口1%取り戻し理論」を提唱している。人口1000人の地域に、毎年、10人 程度が移住すれば、地域の人口減少は緩やかになり、高齢化率は低下し、子どもの数は増加するというものだ◆危 機を共有するだけでなく、具体的な目安を地域住民に示し「そのぐらいなら何かできる」との、やる気と創意工夫 を引き出すアイデアで、説得力がある。少しずつ、丁寧にやることだ。都市と田舎の二軸が持続可能なかたちでバ ランスする国のあり方が求められている。(中)

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