eコラム「北斗七星」

  • 2015.01.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年1月20日(火)付




「65歳まで会社に勤めたら〇〇になろうと通信教育を始めた」。そんな目標を書いた大学時代の友の賀状に月日の流れの早さ、人生を自由に描ける平和のありがたさをあらためて感じた◆読売新聞(4日付)で「シベリア抑留 新資料」の記事を読んだからかもしれない。第2次世界大戦後、日本兵らが旧ソ連で強制労働させられたシベリア抑留。抑留者数は約57万5000人。死者数は約5万5000人という◆『シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり』(畑谷史代著、岩波ジュニア新書)に、復員者の村山常雄さんが11年かけ自費出版した『ソ連抑留中死亡者名簿』についての記述がある◆そこに、『死亡者名簿』巻頭に村山さんが記した言葉が紹介されていた。<死者は一人ひとりねんごろに、その固有の名を呼んで弔われるべきであり、この人たちを「名もなき兵士」「無名戦士」などと虚飾して、人類史の襞に埋め戻す非礼は決して許されることではありません。(中略)この死者たち一人ひとりの前に立ちどまり、その名を呼びその声に聞き入ってほしい>◆畑谷さんはつづる。「その声」が村山さんにはこう聞こえると。「我らの無念を再びあらしめるな」「戦うことなかれ、銃をとるな」◆戦後そして被爆70年。平和への思いを新たにしたい。(六)

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