e防災教育 自らの命守る力を育みたい

  • 2015.01.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月15日(木)付




6434人の命を奪った阪神・淡路大震災から17日で20年を迎える。自然災害の絶えない日本で暮らしていく上で、自助力を高める防災教育は極めて重要である。


特に、東日本大震災で防災教育の効果が大きく注目されたことは記憶に新しい。津波避難に重点を置いた教育を行っている岩手県釜石市では、学校管理下にあった小・中学生から一人の犠牲者も出さず、「釜石の奇跡」と注目された。長年続けられていた教育が災害に強い人をつくり、自らの命を守る力を育んだ好例だ。


こうした行政や教育機関、住民などが連携した取り組みをさらに広げていきたい。政府は、各地の防災教育の拡大や質の向上を目的に「防災教育チャレンジプラン」を行い、財政的支援や専門家による相談に乗り出している。地域の中には多様な人々が暮らしており、それだけ豊富な経験やノウハウもある。地域の人材を幅広く活用するため、支援体制を充実させてほしい。


防災・減災に励む担い手の育成に、先進的に取り組んでいる地域もある。例えば、新潟県長岡市では、地域の防災リーダーを養成する市民講座「中越市民防災安全大学」を開講している。被災場所の視察や救命実習などを行い、市独自の「防災安全士」に認定。安全士らが自主防災組織の相談役となり、地域に密着した活動を実践している。


公明党は、先の衆院選重点政策で防災教育の教科化を掲げた。子どもを通じた防災意識の啓発である。学校での取り組みを充実させることは、各家庭での防災意識を高めることにつながるからだ。一方で、公民館などの公共施設を地域の防災教育拠点として活用し、地域コミュニティーの中で防災に取り組む環境整備も必要だ。


今年3月には、仙台市で国連防災世界会議が開かれ、国際的な防災協力について議論される。会議で日本政府は、全国各地で取り組まれている防災教育の内容を紹介する予定だ。自然災害大国・日本ならではの経験や知識を世界に発信する好機である。


途上国をはじめ、対策に遅れが目立つ国や地域もある。世界的な防災意識の向上をリードしてほしい。

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