e除雪対策 人材育成と技術の開発も重要

  • 2015.01.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月13日(火)付



強い寒気の影響で北日本から西日本の日本海側の広範囲が、記録的な大雪被害に見舞われた。高さ数メートルの積雪が生活道を閉ざさないよう、各地で懸命な除雪作業が行われているが膨大な量を前に作業は滞りがちだ。屋根からの雪下ろし中の事故も多い。除雪作業の安全確保と効率化は大きな課題だ。


ここ数年は東京など大都市圏でも、気候変動が原因と考えられる大雪が降るようになった。除雪作業のノウハウが乏しい大都市は大雪のたびに物流はダメージを受け、交通網は大混乱する。大規模な除雪の技術や知識の活用が北海道などの雪国だけでなく、全国的に重要性を増している。


雪害対策の中心は除雪作業だが、必要な技術と能力の習得の難しさは雪国以外で知られていない。降り続く雪の場合、除雪作業は溶かすというより空きスペースを作りながら雪を寄せ集めるように工夫する。中でも、道路上の雪を効率的かつ安全に取り除くには大型除雪車に頼らざるを得ないが、使いこなすには特殊な熟練の技術が必要だ。雪の状況は地域や天候によって大きく違うため、一人前の運転技術者を育成するには10年程度が必要ともいわれる。


高度な除雪技術の重要性は高まる一方だが、既に除雪施工業界におけるベテラン技術者の引退は始まっており、新たな技術者の育成と除雪技術の継承は差し迫った課題だ。高度な除雪技術を備える人材の育成を地域任せにするのではなく、全国各地で担い手を育成する仕組みづくりが必要ではないか。


除雪作業が冬期に集中することで、収入の不安定さを危ぶむ就労希望者もいる。熟練者による技術講習を通年で受けられる機会を早急に設け、就労希望者の生活面の不安を解消する政策が求められる。


熟練技術者の不足を補うには大型除雪車の性能向上も役立つ。国土交通省が熟練者の技術に頼っていた大型除雪車の運転操作を、熟練者以外でも使えるよう最新技術で支援する装置開発と実用化を進めている。安全性と実用性を備えた除雪車の普及は、雪害対策を容易にするに違いない。


年々深刻化の様相をみせる雪被害をあらゆる知恵を活用して乗り切るべきだ。

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