e戦後70年 国際平和を深化させる年に

  • 2015.01.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年1月5日(月)付

 

今年は第2次世界大戦の終戦から70年の節目である。戦後日本が築いた国際的信頼は、自国民やアジアの人々に戦争で多大な苦痛をもたらした歴史的事実を猛省し、憲法がうたう恒久平和を誠実に希求してきた努力の積み重ねの結果だ。日本は不戦の誓いを、ゆるがせにしてはならない。

日本は国際平和の深化にどう貢献すべきか。まずは、中国、韓国との関係改善である。領土や歴史認識で、日中、日韓関係を停滞させていては双方にとって得策ではない。

国際舞台での発言力が増す中国との信頼醸成は重要だ。中国とロシアが両国で開催する戦勝70年記念行事への相互参加に合意し、中国の国内で対日批判が再燃する恐れが指摘されている。昨年11月に北京で日中首脳会談が開催され、政治対話の扉が開いた関係を最大限に生かすべきだ。

昨年末の第3次安倍内閣の発足に当たり、首相は日中問題について「大局的な観点からさまざまなレベルで政治対話を積み重ね、関係を発展させたい」と表明した。発言を実行する上で試金石となるのが、東シナ海での不測の事態に備える「海上連絡メカニズム」の整備である。早期に両国で協議入りし、実現を急いでもらいたい。

今年は日本と韓国の国交正常化から50年の節目でもある。昨年3月の日米韓首脳会談以降、外相会談など日韓の外交チャンネルは活発になり始めた。多分野で重要なパートナーである韓国と良好な関係構築を促進することはアジアの安定のためにも必須だ。

国際社会は東西両陣営の2極対立から新興諸国の台頭による多極化の時代に入り、先行きの不透明さを増している。外交のすれ違いを避けるには、国家間の対話窓口の充実が重要だ。中でも、日中韓首脳会談の早期実現はアジアの平和的連帯の強化に期待する国際社会の望みでもある。

大戦の記憶を次世代に引き継ぐことも重要な課題だ。埼玉大学と毎日新聞の共同調査では、20代の6割が親や祖父母から戦争体験を直接聞いたことがない。記録された歴史映像や文献を学校教育で積極活用し、平和教育に力を入れる点も検討すべきだ。戦後70年の節目を世界平和を深化させる元年としていきたい。

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