e地方創生の総合戦略 地域資源生かす対策づくりを

  • 2014.12.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年12月17日(水)付



今後5年間の地方創生の具体策を示す「総合戦略」を年内にまとめるため、政府は策定作業を急いでいる。


総合戦略は11月に成立した「まち・ひと・しごと創生法」に基づくもので、国に策定が義務付けられている。東京一極集中の是正をはじめ、若者の就労・結婚・子育て支援策や、地域産業基盤の強化策などが盛り込まれる方針だ。

急激な人口減少により地域経済の疲弊は著しい。コミュニティーの存続が危ぶまれる地域も珍しくない。対策は待ったなしだ。実効性のある戦略を打ち出し、地域の活力を引き出さなければならない。


その上で、都道府県や市町村には、2015年度までに地域の実情を踏まえた「地方版総合戦略」の策定が努力義務として課されている。一つでも多くの自治体に、その地域特有の戦略づくりを求めたい。


ただ、自治体の中には、計画策定のためのノウハウや人材が不足しているところは少なくない。政府は戦略づくりを支援するため、国家公務員や大学研究者などを派遣する制度を設ける予定であり、積極的に活用してほしい。地域の事情をよく知るNPO法人や民間団体とも連携していくことが重要だ。地域に根差す公明党の地方議員は、議会質問などの機会を駆使して戦略づくりを後押しする役割を担ってもらいたい。


大都市から地方への人の流れをつくり出す上で欠かせないのが、雇用の場の創出である。地元の農林水産物を生かした地域ブランドの開発などにより、働く場を増やす取り組みが鍵を握る。


例えば、高知県土佐清水市では、官民を挙げて特産のゴマサバなどを使った加工食品の開発に取り組んだ結果、全国的な人気商品となり、加工・製造会社だけでなく、扱う小売業や旅館にまで新しい雇用の場が生まれている。


また、地域が抱える課題や不利な条件を逆手に取った商品開発も参考になる。ある農村地域では、遊休農地を活用したソバなどの特産品づくりに成功し、販路を拡大している。豪雪地域では、りんごの貯蔵に雪室を活用している自治体もある。


地域の資源を生かした戦略を積極的に進めるべきだ。

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