eGDPの減速 成長の障壁を着実に取り除け

  • 2014.11.18
  • 情勢/経済

公明新聞:2014年11月18日(火)付



今年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が公表された。物価の変動を除いた実質成長率は、前期(4~6月期)より0.4%減少。仮に、この状態が1年続いた場合の年率換算は、マイナス1.6%だった。2四半期連続でのマイナス成長だ。「大変に厳しい数字」(山口那津男代表)である。

経済減速の要因は夏の天候不順に加え、景気回復でようやく増えた所得が物価急騰で大きく目減りし、消費者心理を悪化させたからだ。4月の消費増税前の駆け込み需要による消費の落ち込みが、回復していないことも響いた。

過度な円安が輸入品価格を押し上げ、国民生活に深刻な悪影響を与えている点も、景気悪化に追い打ちをかける要因として見逃せない。特に、日本経済の屋台骨である中小企業経済への打撃は想像以上だ。8月の広島市での大規模な土砂災害をはじめ、台風や異常気象による自然災害が各地で起きたことで地方経済の陰りも濃くなっている。

来年度の予算編成と税制改正の議論を進めねばならない時期を迎えているが、この中で経済成長への正常軌道に再び乗せるための具体策を示す局面ではないか。デフレ脱却を着実にするために補正予算の編成を積極的に検討してほしい。例えば、景気回復をリードしてきた住宅投資が低迷している。環境に配慮した住宅の新築やリフォームにポイントを付与し、商品などと交換できるようにする「住宅エコポイント」制度を復活させることは有効だろう。

GDPの約7割を占める「ローカル(地方)経済圏」を盛り上げることも必須だ。今国会で、自公政権が掲げる「地方創生」の基本理念を定めた地方創生関連法案を成立させなければならない。同法案は少子高齢化時代に適した産業、医療、交通などを再構築することで地域の活力を引き出すものだ。希望あふれる地域社会の実現は、日本経済全体を盛り上げていく底力となる。

自公政権の経済政策は「失われた20年」と呼ばれた長期低迷を克服し、経済が再浮上するための道筋を付けた。持続的な経済成長に向けて、障壁を一つずつ取り除く努力を怠ってはならない。

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