e改正土砂災害防止法 警戒情報を住民避難に生かせ

  • 2014.11.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年11月15日(土)付



土砂災害の警戒区域の指定を促進する改正土砂災害防止法が成立した。指定の前提となる基礎調査が進まない都道府県に対し、国が是正要求を行うとともに、住民に土砂災害の危険性をいち早く伝えるため、基礎調査の結果の公表を都道府県に義務付ける。

8月に広島市で発生した大規模土砂災害を受け、公明党が主張してきた提言の多くが反映されている。

全国には土砂災害の危険箇所が52万カ所以上もあるが、警戒区域に指定されているのは35万6380カ所(8月末時点)にとどまる。

指定が進まない原因の一つは、基礎調査を行う財源や人手の不足である。自治体は国の防災・安全交付金をより積極的に活用してほしい。政府は十分な予算措置や技術的な支援など、自治体を強力にバックアップすべきだ。

また、指定によって自宅の資産価値の低下を心配する住民もいる。だが、豪雨の増加などで土砂災害の危険性は高まっている。自治体職員のOBを活用して説明会を増やすなど、住民の理解を深める努力を尽くすべきである。

国会審議で太田昭宏国土交通相は「基礎調査は5年程度で完了させたい」と答弁している。各自治体の進捗状況を定期的に公表し、調査の早期完了を促してほしい。

同法では、都道府県と気象庁が発表する土砂災害警戒情報について、市町村や住民への伝達・周知が義務化される。

肝心なのは、警戒情報が住民の避難に生かされるかどうかである。広島や昨年の伊豆大島の土砂災害では、警戒情報が自治体の避難指示・勧告に結び付かなかった。

国交省によると、「警戒情報が発表された時、避難勧告を発令する」と定めている自治体は、わずか4%しかない(昨年3月末時点)。現在は一定程度増えているが、発令が遅れれば被害の拡大に直結する。市町村は"空振り"を恐れず、警戒情報が発表されたら直ちに避難勧告に踏み切るべきだ。

避難場所や経路に危険な箇所がないか、総点検が必要だ。住民の意識を高める防災訓練にも力を入れてほしい。繰り返される災害の教訓を生かし、対策の実効性を高めていきたい。

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