eコラム「北斗七星」

  • 2014.11.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年11月15日(土)付



麓から、その頂は見えない。高さ100メートルにも及ぼうかという偉容。そのスケールとは裏腹に、今にも崩れ落ちそうな脆い地肌が痛々しい。そんな北海道夕張市の高松地区にある"ズリ山"で、注目のプロジェクトが動き出した◆北海道では、炭鉱での石炭採掘に伴って排出された土砂をズリと呼ぶ。この地に積み上げられた量は、推定3000万トン。閉山から約40年間、"過去の遺物"として顧みられることはなかった◆「少しでも地域の役に立たないか」。市内の建設会社がズリに含まれる石炭の再資源化を思い立ったものの、なかなか話が進まない。そんな折、この計画に耳を傾けたのは他でもない、財政再生団体となっている同市◆この山は、閉山した炭鉱会社から市が引き継いだ。近年、風化が進み、大雨の度に崩落の危険にさらされる。保全対策が急務であっても、財政的には極めて困難。その"負の遺産"が、民間活力の活用によって新たな雇用を生み、商品を作り出し、処理後の土砂で地盤の安定化も進められるとなれば一石二鳥、三鳥となる◆この取り組みは、公明党の稲津久衆院議員の後押しなどもあり、このほど国の「地域経済循環創造事業交付金」の対象に。地域に根差した資源やアイデア、人材。"宝"を見つけ育てる視点が、「地方創生」には欠かせない。(武)

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