e高校の遠隔教育 過疎地の授業水準確保に必要

  • 2014.11.14
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年11月14日(金)付



文部科学省の有識者会議は10日、テレビ会議システムなどを活用して授業を行う「遠隔教育」の導入を、全日制と定時制の高校に認める報告書案をまとめた。同省は来年度からの導入をめざし、関係省令を改正する方針だ。

全日制と定時制高校での遠隔教育は現在、不登校の生徒を対象にした授業を除き認められていない。

報告書案では、遠隔教育はリアルタイムで授業を配信し、生徒との質疑応答ができる「同時双方向型」を原則とした。録画した映像を使う「オンデマンド型」は病気療養中の生徒などに限定。取得できる単位は、高校卒業に必要な単位の半分以下までにとどめる。各科目の単位取得には、直接対面による授業を一定時間行うことを求めている。授業を配信する側の教員は、受信側の高校にも籍を置いて生徒の学習評価を行う。受講生徒数は一般の授業と同じ40人を上限に定めた。高校の教員免許を持った大学教授や海外にいる教員らによる高度な授業も行えるようにする。

検討が進められてきたのは、離島や過疎地の高校では全教科の担当教員を確保するのが難しく、科目によっては専門外の教員が例外的に教えるケースが少なくないからだ。遠隔教育が導入されれば、こうした地域でも各科目の専門知識を持つ教員の授業を受ける機会を確保できるだけでなく、掛け持ちする教員の負担も軽減されるだろう。

ただ、導入する場合に気がかりな点もある。例えば、授業以外の時間に生徒が質問できる機会を十分に確保できるのか。教員が生徒一人一人の学習の進み具合を把握して、きめ細かい指導を行えるかどうかも心配だ。実施に当たっては、事前に教材を配布したり、授業をサポートする人材の配置など、通常の授業以上に準備や工夫が求められる。

システムを整備するコストの問題や技術的なトラブルへの対応などの課題もある。遠隔教育は既に、一部の高校で試験的に導入されているが、こうした先行事例を検証し、導入自治体への支援策を検討するべきである。

子どもたちが、どこに住んでいても一定水準の授業を受けられる環境を整備してもらいたい。

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