eノーベル賞・天野浩名大大学院教授の講演(要旨)

  • 2014.10.27
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2014年10月26日(日)付



若い力が課題を突破
博士 人材、基礎研究に支援を



学生時代、(天野氏とノーベル物理学賞を同時受賞する)赤﨑勇先生の研究室で、青色LEDに必要な「窒化ガリウム」の高品質結晶の作製に取り組んだ。何千回もうまくいかない時が続いたが、その中で少しずつ勉強し、技術も習得した。

ある日偶然、研究装置の調子が悪くなって、本当は高い温度で作らなければいけないのに、逆に低い温度で結晶を作ることになった。すると、物の見事にきれいな結晶ができてしまった。これは現在、「低温バッファ層技術」と呼ばれ、世界中で使われている。

青色LEDができたことで、赤色、緑色LEDと合わせて光の三原色が達成され、フルカラーのディスプレーを作れるようになった。そして現在は、ディスプレーだけでなく照明にまで技術が進展している。

LED電球は、白熱電球と比べて8倍以上の発光効率だ。2020年の東京五輪までには、7割以上がLEDに置き換わると予測されており、日本の全発電量の7%分を削減する効果があると試算されている。

さらにLED電球は、太陽電池と組み合わせることで、南米やアフリカ、中央アジアなど、発電所を造るのが難しい国に住む子どもたちの「夜、勉強したり、本を読みたい」という願いをかなえることにもつながっている。

研究で大きな課題があった時、それを突破するのは若い力だ。20代半ばから30代半ばくらいまでの若い力が、今まで無理と言われていた課題を突破している。博士課程や若いポスドク(ポストドクター=博士研究員)がイノベーション(技術革新)には必須だ。そのため、学生にとって返済が負担になっている奨学金制度を改善できないかと強く感じている。

今回の青色LEDもそうだが、基礎研究が大きなイノベーションにつながっている。基礎研究を行う人への投資は日本の強さを維持するために、また次の時代を切り開いていくために必要だと思っている。未来への投資ということで、ぜひ皆さんにも力を頂きたい。

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